北ミサイル:韓国政府、「開城工業団地閉鎖」カード切るか

韓国政府「北朝鮮に骨身に染みるような代価を支払わせる」

 北朝鮮が核実験と事実上の長距離弾道ミサイルの発射を相次ぎ強行したことで、南北経済協力事業である開城工業団地の行方が注目を集めている。韓国政府は7日、北朝鮮南部の同団地に在留する韓国側関係者を従来の650人から500人に縮小することを決めた。

 統一部(省に相当)の洪容杓(ホン・ヨンピョ)長官は8日、国会外交統一委員会が開いた緊急懸案報告に出席し、北朝鮮のミサイル発射を受け「可能なあらゆる措置を検討中だ」と述べた。「北朝鮮に骨身に染みるような代価を支払わせ、非核化に向かわせる措置」を検討していると説明した。開城工業団地を閉鎖するのかと問われると、洪長官は「南北協力のために開城工業団地事業を行ってきたが、北朝鮮が威嚇を繰り返して緊張が高まり、国民の身の安全が危うくなっている」とした上で「誤った行動を正すため、制裁レベルの考慮も必要だと思う」と述べた。

 韓国企業の工場で北朝鮮の労働者が働く開城工業団地の閉鎖は、韓国が独自に実施できる強力な対北朝鮮経済制裁に挙げられる。北朝鮮は同団地事業で年間1億ドル(約115億円)の外貨収入を得ている。団地の操業には労働者5万4000人とその家族計20万人余りの生活がかかっており、開城市内の水道と電気も団地を通じて供給されている。

 だが、同団地の閉鎖は韓国側にもマイナス面があり、現段階では時期尚早との指摘もある。同団地に入る韓国企業124社の生産額は月5000万ドル(約58億円)に達し、政府などの投資額も累計5500億ウォン(約527億円)を超えている。閉鎖すれば北朝鮮が被害の補償を主張して韓国の資産を凍結・没収する可能性が高いほか、韓国国民を人質に取る事態も起こりかねない。

鄭始幸(チョン・シヘン)記者
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