これからの素材です。いらない紙から作るエアロゲル

2016.02.17 09:00
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自分のこれからに期待してください!

軽くて断熱性があるとして注目されるエアロゲル。通常ならば、それなりにコストのかかる行程で研究所で作られることがほとんどです。スーパー素材ですからね、高いわけです。が、そのエアロゲルをゴミから作れるとなればどうでしょう。

中には金やグラフェンから作る場合もありますが、エアロゲルのほとんどはシリカから作られます。エアロゲルは、ジェル状態から乾燥させ水分を取り除き作りますが、その際に水分を失っても構造はそのまま、つまり水分を気体に置き換えるというのが肝となります。結果、非常に軽い素材が出来上がるわけです。

シンガポール国立大学が開発した技術は、このエアロゲルをセルロースを使って作るというもの。セルロースから作るということは、から作ることができるということ。もちろん、新品な紙である必要はなく、ゴミとなるいらなくなった紙でいいのです。研究チームが開発した方法は実にシンプル、凍らせたり乾燥させたりするだけです。まず、紙を水で根覆いしセルロース繊維を抽出、そこに水を足しポリマ樹脂とクロスリンクさせ、高周波数を使って優しく混ぜ合わせます。そうしてできた液体を-18°で24時間冷凍した後、-98°で2日間フリーズドライ、最後に120度のオーブンで3時間かけて解凍します。こうしたプロセスを経て、素材中の水分すべてを取り除きます。


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セルロースエアロゲル。完成した素材は非常に多孔性が高く、数字で言えば98.2パーセントが空気という柔軟性がある上に強い物質になります。利用方法は様々で、例えば、メチルトリメトキシシランでコーティングすれば、疎水性になり、水中にある油分だけを吸い込むこともできます。また、吸い込んだ油は99%まで排出できるので、再利用も可能。研究チームは、今後開発が進めば、住宅素材や、パッケージ、防寒コート、はたまたオムツなど幅広い分野でこの素材が活躍できるだろうと考えています。開発はBronx MRCという会社にスピンアウトして続行されますが、実用化はまだ先の話。夢が広がる素材なことは確かです。

素材がゴミ(不要になった紙)ならば、低コスト化できる上に再利用でとてもエコ。まさに、これからの素材です。


image: by Bronx MRC
source: Bronx MRC via National University of Singapore via Gizmag

Jamie Condliffe - Gizmodo US[原文
(そうこ)

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