悪性リンパ腫(1)57歳で「血液のがん」に
19歳でNHK連続テレビ小説の主役を務め、人気スターになった。女優業と、3人の子育てに懸命の日々が続いた。
57歳で血液のがん「悪性リンパ腫」となり、「余命3か月」と子どもたちには伝えられた。抗がん剤などでの闘病から4年後、女優に復帰できた。
東京・北千住の下町に育った。快活な少女だった。「芸能界とは無縁で、大きくなったらBG(ビジネスガール)になるんだと思ってました」
高校1年生の時、岡本喜八監督が、戦争を題材とした自作品「肉弾」で、お下げ髪、もんぺ姿が似合う少女役を募集していた。知り合いが内緒で、大谷さんの写真を送った。知らないうちに、応募者約300人の中から選ばれてしまった。
「演技も何もわからず、この映画だけのつもりで出演したんです」。この映画がNHKのドラマ制作者の目に留まった。
1969年(昭和44年)から1年間放送された「信子とおばあちゃん」の主役に抜てきされた。同じ年頃の九州生まれの信子役。平均視聴率37・8%、最高視聴率は46・8%。大人気となった。
収録は高校3年の時から始まった。10代のヒロインとして、突然、全国で知られるようになった。
「でも、どこに行ってもじろじろ見られるので、好きな所にも行けません。とても不自由で、いやでした」
女優 大谷 直子(おおたに なおこ)さん(64)
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(2015年3月26日 読売新聞)
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