がん確定1人増16人 2巡目子ども甲状腺検査
東京電力福島第一原発事故を受け、平成26年4月に始まった2巡目の子どもの甲状腺検査(本格検査)で、昨年12月末までに甲状腺がんと確定したのは16人となり、前回公表(9月末現在)の15人から1人増えた。1巡目の先行検査と合わせるとがん確定は116人となった。
■「放射線影響考えにくい」座長見解
15日に福島市で開かれた県民健康調査検討委員会で県と福島医大が明らかにした。星北斗座長(県医師会副会長)は「現時点で放射線の影響は考えにくい」との見解をあらためて示した。
本格検査のがんの疑いは35人で9月末現在の24人から11人増えた。「確定」と「疑い」を合わせると51人になる。男女年齢別は男性21人、女性30人で、東日本大震災当時に6歳から18歳だった。事故から4カ月間の外部被ばく線量が推計できた29人のうち、最大は2・1ミリシーベルトで、1ミリシーベルト未満は10人だった。
血液や細胞などを詳しく調べる2次検査に進んだのは計1819人で、市町村別人数などは【表(1)】の通り。26年度は15万5536人が1次検査を受診した。1260人が2次検査対象となった。27年度は8万1059人が1次検査を受け、2次検査対象は559人だった。
23~25年度の先行検査の追加結果も報告された。がんの疑いは15人で9月末現在から2人増えた。
■座長、最終案示す 県民健康調査中間取りまとめ
県民健康調査の今後の方針や、これまでの見解を集約する中間取りまとめの最終案を星北斗座長が示した。
最終案では今後の調査目的について、「原発事故による被ばく線量の評価を行うとともに、被ばくによる健康への影響について考察する」などと明記した。さらに基本調査については「問診票の回答率向上を目標とせず、自らの被ばく線量を知りたい県民に対して窓口を用意するという方向にシフトすべき」とした。
甲状腺がんの発生についてはチェルノブイリ原発事故で多く見つかった5歳以下からがんが見つかっていない点などを挙げ、「放射線の影響とは考えにくい」との見解を盛り込んだ。
中間取りまとめは、さらに委員からの意見を反映させ、今年度中にもまとめる方針。
■甲状腺検査
1巡目の先行検査は原発事故当時に18歳以下だった約37万人が対象で、2巡目の本格検査は事故後1年間に生まれた子どもを加えた約38万人が対象。それぞれ1次検査は超音波を使って甲状腺のしこりの大きさや形を調べ、程度の軽い方から「A1」「A2」「B」「C」と判定する。大きさが一定以上で「B」「C」とされれば、2次検査で血液や細胞などを詳しく調べる。
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