北朝鮮の警備艇が長距離ミサイル発射翌日で旧正月当日でもあった8日、西海(黄海)の北方限界線(NLL)を侵犯した。北朝鮮警備艇は韓国海軍の数回にわたる警告通信にもかかわらず、NLLを約300メートル超えて侵入、韓国海軍が76ミリ艦砲5発を警告射撃すると北朝鮮側に戻った。
韓国政府は、北朝鮮のミサイル発射とNLL侵犯が相次いで起こったのは偶然でない可能性があると考えている。安保関連部処(省庁)関係者は9日、「北朝鮮が韓国の対北朝鮮政策転換に圧力を加えるため、核ミサイルをちらつかせて韓国に対する挑発行動を日常的に行う『核の影戦略』を本格化させる脅しに見える。これから波状攻撃のように展開される韓国挑発の予告編である可能性が高い」と言った。「核を保有している自分たちを恐れているので、韓国側は積極対応できない」と北朝鮮は考えているというのだ。4回目の核実験が金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党第1書記の誕生日(1月8日)、長距離ミサイル発射が金正日(キム・ジョンイル)総書記の誕生日(2月16日)を前に実施されただけに、金日成(キム・イルソン)主席の誕生日(4月15日)直前にもこれらに匹敵する挑発の可能性があるとの見方もある。韓国政府関係者は「国際社会の対北朝鮮制裁の概要が明らかになり、韓米合同軍事演習が本格化する3-4月に北朝鮮はさらに強度の高い挑発行動に出るだろう。5回目の核実験の可能性も捨てきれない」と語った。
北朝鮮専門家らは特に、昨年12月に交通事故で死亡したとされる金養建(キム・ヤンゴン)朝鮮労働党書記(統一戦線部長)の後任に、軍出身で韓国に対する挑発行動の責任者でもある金英哲(キム・ヨンチョル)偵察総局長が起用されたことに注目する。これまで党の主要人物が務めてきた職務を今回初めて軍出身者が務めることになっただけに、北朝鮮による今後の対韓国政策は攻勢的・暴力的傾向を示す可能性が高いということだ。韓国政府は、今年初めから始まった北朝鮮の戦略的挑発について、5月に開催される第7回朝鮮労働党大会を念頭に入れたものと見ている。韓国統一部(省に相当)当局者は「人民に対して示す功績がないまま党大会を開くことはできない。金正恩第1書記は『朝鮮は核・衛星強国になった』と宣伝をすることにより、36年ぶりに党大会を開く指導者であることを強調しようとしているのだろう」と話した。
事実、北朝鮮メディアは今回のミサイル発射が金正恩第1書記の決断によるものであることを強調、これを大々的に宣伝している。8日昼、平壌の金日成広場では党・政・軍の高官や住民10万人を動員して「平壌市軍民慶祝大会」が、夜には花火行事が開催された。