2016年02月17日更新

「金継ぎキット」があれば割れても安心!自分で修復しませんか?

「金継ぎ(きんつぎ)」って聞いたことありますか?耳にしたことがなくとも、一度は目にしているかもしれません。器の欠けや割れた部分が金色や銀色に塗られてくっつけてあるのを見たことはありませんか?これが「金継ぎ」です。最近、習い事やワークショップとしても人気の理由をリポートします。

「金継ぎ」って?

「金継ぎ」とは

「金継ぎ(きんつぎ)」とは、割れや欠け、ヒビが入った陶磁器を修復する技法のことです。破損した部分を「漆」でくっつけます。植物の樹液の「漆」で接着することによって強度が強くなり、修復前の強度にまで戻せるそう。また「漆」は天然素材なので、もし口に入ったとしても安全なことから、子供の器にも安心して使うことができるとのこと。

漆で継いだ(くっつけた)部分に、さらに「金や銀」で装飾を施して完成させます。こうして欠けた部分を修復する「金継ぎ」という技法は、茶の湯が盛んだった室町時代から始まったとされています。

昔からの技法

この金継ぎされた茶碗は「筒井筒」と呼ばれる有名な器です。かの豊臣秀吉が愛蔵していたという一品で、ある日、小姓が誤って落としてしまい、五つに割れてしまいます。激怒した秀吉は小姓を手打にしようとしますが、居合わせた細川幽斎が「筒井筒 五つにわれし井戸茶碗 咎(とが)をば我に負ひにけらしな」と詠み、その後金継ぎを施されて秀吉の怒りがとけたという逸話が残っている代物です。

お茶の世界では、割れて金継ぎされた部分を「景色」と呼んで、さらに高い価値とされることもあります。こうして更なる付加価値が与えられ、名碗「筒井筒」は作り上げられたのです。継ぎ直して更なる価値を見い出す修理法は「茶の湯」によって、日本独自の新しい審美眼を確立させたのでした。

割れて欠けてしまった一部分に、別の皿とガラスのかけらを組み合わせて金継ぎした一枚。

近年、大震災により多くの伝統工芸が大打撃を受けました。修復が急がれる現状と後継者不足の問題から改めて「金継ぎ」の必要性が見直され、後継者を育成しようという動きも出てきています。また低価格で大量に陶磁器が生産されている現在、自分にとって貴重で価値のある器を大事にしようという意識の変化も「金継ぎ」が再注目された要因のひとつのようです。

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出典: yukobo.co.jp

こちらは陶磁器のかけらを継いでアクセサリーにしたもの。「金継ぎ」は時代と共に新たな可能性を開花させようとしているのです。

how to 金継ぎ〜キットで実際にやってみよう〜

東急ハンズなどで購入可能「金継ぎキット」

時代の変化とともに「金継ぎ」も非常に身近なものとなりました。ホームセンターや大手ディスカウントストアで「金継ぎキット」なる初心者用のセット品を購入することもできます。ひとつ一つの材料を揃えるよりもリーズナブルでお得です。技術を極めたい!という方には、金継ぎの手順やコツを説明した本も多数出版されています。

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出典:  www.amazon.co.jp

金継初心者セット

¥8,208 (税込)

※最新の情報は商品ページをご確認ください
商品ページへ www.amazon.co.jp
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金継ぎの手順

金継ぎは天然の漆を何度も塗っては乾かして仕上げるので、スピーディにとはいきません。ただ最近では「新うるし」なるものが登場し、簡単に金継ぎをやりたいというニーズに応えて、早く乾いて簡単にできるものもあるのだそう。昔ながらの天然の漆の使った「金継ぎ」の工程は、以下のリンク先でご覧いただけます。

はじめての金継ぎ

漆や小麦粉などでノリをつくって貼り合わせ、乾かしてから余分なノリを研いでは塗って、を繰り返していく工程は楽ではありません。最後に絵漆を薄く塗って、その上に金粉を蒔いて完成となる瞬間こそが、ますます愛着の湧く器に変わったときかもしれません。前述したように、金継ぎをすることで更に付加価値がつくという意味が分かるような気がします。

ワークショップや教室が人気

初心者キットを買ってやる前に、やっぱりプロの先生にお手本を見せてほしい……という方のために、全国で気軽に体験することのできるワークショップや教室が多数開催されているようです。

ワークショップに参加希望者が殺到

数年前に雑誌などで掲載されたこともあって、お気に入りのカップやお皿を直しませんか?という「ワークショップ」はジワジワと人気になっています。申し込み者が殺到して、一時募集を休止しているところもあるほど。インスタグラムやフェイスブックでも多数の教室情報がヒットしますので、ぜひお住まいの地域でリサーチしてみてください。みんなで楽しく、気軽にワイワイ取り組めるのがワークショップのいいところですよね。

大体のワークショップがご家庭から欠けた食器などを持参することができます。ぜひ「眠る愛用品」を持参して。

カジュアル金継ぎ 体験講座(銀座)
にっぽん てならい堂 金継ぎ学級
金継ぎ部

教室もあります

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出典: po6.nsk.ne.jp

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出典: po6.nsk.ne.jp

ワークショップで体験してみたら「なんか楽しい!」と、ついに金継ぎを極めてみたくなったあなたへ。教室で専門的に学ぶこともできます。まずは初級から始めて、究極は師範クラスを目指すクラスもあります。

金継教室「金継宗家」
金継ぎ教室(九州)
NHKカルチャーセンター京都

みなさんの「金継ぎ」コレクション

愛用の器もオリジナル品になる

不要となった陶片を合わせて継がれた小皿。新たな息吹が吹き込まれるのが「金継ぎ」の素晴らしいところ。

骨董の陶片と色ガラスを扇型に合わせて継いだ「ブローチ」。着物にも洋装にもマッチしそう!

「金継ぎ」はガラス製品にもできます。こちらはコップの欠けを大きく継いだもの。デザイン性が高くなりますね。

こちらは「金継ぎ風」にデザインされたiPhoneカバー。海外で特に人気とのこと。

リヤドロやマイセンの名品も金継ぎで蘇ります。

インテリア品で人気のフレッドくんも金継ぎで復活!また生活に彩りを加えてくれます。

コツ・ポイント

海外では器が欠けただけでも縁起が悪いとのことで再度、使うことはないのだそう。金継ぎは日本の「もったいない文化」が生みだした誇るべき文化かもしれません。漆や金粉などは当時、高価でなかなか手が届かない代物だったかもしれませんが、今ではご家庭でもトライすることができるようになりました。どうしても手放せない思い出の品を自分の手で蘇らせてみては?

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