2020年度にも小中高校で順にスタートする新学習指導要領について、文部科学省は5日、22年度をめどに高校に必修の「公共」「歴史総合」(いずれも仮称)などの新科目を設ける案を公表した。文科相の諮問機関「中央教育審議会」に示した。16年度中に答申する方針だ。

 公民科の「公共」は選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたことを受け、選挙など政治参加について学習する。将来、成人年齢が引き下げられるという意見も踏まえ、社会保障や契約、家族制度、雇用、消費行動といった社会で必要なことを学ぶ。

 自民党が13年に、社会で必要になる規範意識を養うとして新設を提言した。文科省も、現行の科目より実践的で幅広い新科目が必要と判断した。ただ、必修化で「倫理」など別の科目を学ばなくなる可能性もあり、既存の科目で習う専門的な知識が学べなくなることを心配する声もある。

 「歴史総合」は、日本史と世界史の近現代を中心に考える必修科目。現行では世界史のみが必修。日本史を学ばずに卒業する高校生もおり、近現代史が苦手な生徒も多い。自民党も14年の衆院選公約で日本史の必修化を掲げていた。文科省はこうした事情から日本史と世界史の近現代を中心に考える必修科目の新設を提案。現代の課題と過去とのつながりを理解し、グローバルな視点で日本の歴史をとらえる狙いがある。「地理総合」は、地球規模の課題を解決する力を育む。

 世界史は必修ではなくなる見通し。ほかの現行科目の扱いなどは、中教審が今後、詳細を話し合う。

 ほかに、理科と数学の両方の知識を使って社会や物理の現象について研究する選択科目「数理探究」(仮称)の新設も検討する。