【社説】THAAD韓国配備問題、国内対立をあおる材料にするな

 THAAD配備は従来の比較的低い高度でのミサイル迎撃システムの弱点を補うものだ。韓国の外交当局は何よりもまず中国に対し、THAADのこのような側面について誠意を持って説明しなければならない。それでも中国が報復に乗り出してくれば、韓国はこれを甘受する覚悟を持つしかない。北朝鮮が開発を進める核兵器とミサイルは、いわば大韓民国の生存が懸かった問題であり、経済面での得失によって対応を決めるような性質のものではない。そのため今後予想される数々の試練は、韓国企業が新しい市場を開拓するなどして克服する以外に道はないのだ。野党も、中国に歩調を合わせるかのようにTHAAD配備に反対し、国内での対立と国論分裂をあおるような対応を自制すべきだ。

 また韓国政府も自国の安全保障政策樹立に大きな障害となっている開城工業団地について、決断の時に備えておかねばならない。中国はもちろん日本も韓国に対し「開城工団を通じて北朝鮮に利益を提供している」などの口実で「韓国は中国に原油輸出の中断といった実効的な制裁を求める資格があるのか」といった疑問の声が上がっている。開城工団は2004年に稼働を開始したが、それ以来北朝鮮が手にした利益は4億ドル(現在のレートで約460億円)に上ると推定されている。韓国は北朝鮮に対する実効的かつ厳しい制裁を求めているが、その一方で開城工団の稼働だけは例外とするよう求めるのはやはり矛盾していると言わざるを得ない。中国が北朝鮮への制裁に乗り出し、同時に開城工団の閉鎖など韓国にも何らかの対応あるいは決断を求めてきた場合、韓国はこれにいかに対処すべきか、今から準備を進めておかねばならない。

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