【社説】THAAD韓国配備問題、国内対立をあおる材料にするな

 在韓米軍に米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」を配備する方向で検討が行われている中、中国が予想通り反発の声を上げた。韓国と米国は7日、THAAD配備に向けた協議を正式に始めることで合意したが、これに対して中国外務省は「深い憂慮の念を表明する」とした上で、韓国の金章洙(キム・ジャンス)駐中国大使を呼び出し抗議した。中国は北朝鮮が弾道ミサイル発射実験を行ったことについては「遺憾の意」を表明するだけで、実際に何らかの制裁に乗り出す動きは示していない。北朝鮮の挑発的行動については人ごとのように知らないふりをしながら、北朝鮮に対抗するため韓国が選んだ苦肉の策については、より厳しい態度でけん制に乗り出してきたのだ。

 中国はこれまで科学的根拠もないまま「THAADの韓半島(朝鮮半島)配備は中国を念頭に置いたものだ」などと主張し、反発を繰り返してきた。例えば中国の複数の国営メディアは「(THAADを配備すれば)その代償を支払う準備も同時にしなければならないだろう」などと韓国をあからさまに脅迫したこともある。その一方で中国は北朝鮮の核実験や弾道ミサイル発射実験については、これにブレーキをかける措置など何も行っていない。韓国による防衛的ミサイル迎撃システム配備に中国が反発するのは、いわば韓国に対して素手で北朝鮮の核兵器に対抗するよう求めるようなものだ。もし日本が核兵器を配備し脅迫してくれば、中国はどのような対抗措置を取るだろうか。中国は自分たちにできないことを、韓国に対して要求すべきではない。

 中国政府は2000年、韓国が中国産にんにくの関税を引き上げたことに反発し、韓国製携帯電話の輸入を禁止したことがある。また10年に東シナ海で日本との領有権争いが本格化すると、日本に対してレアアースの輸出を禁止する対抗措置を取ったことも記憶に新しい。このように中国は許認可や技術問題、通関などありとあらゆる報復の手段を持っている。今回もTHAAD配備問題を口実に、韓国に対し経済面で何らかのけん制を行ってくる可能性が考えられるだろう。輸出の26%を中国に頼る韓国としては、決して小さくないダメージを受ける可能性が当然出てくる。

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