THAADに警告? 中国政府が韓国企業向け電気バスバッテリー補助金中断

 中国政府はこのほど、サムスンSDI、LG化学などが中国で生産した三元系(ニッケル・コバルト・マンガン=NCM)正極材の新型バッテリーを搭載した電気バスに対する補助金給付を中断する方針を固めた。それをめぐり、中国政府の方針が終末高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓半島(朝鮮半島)への配備に対する中国側の警告ではないかとの見方が浮上している。

 北京駐在の財界関係者によると、北朝鮮が4回目の核実験を実施したことをきっかけに、韓国でTHAAD配備論が強まった先月14日、中国工業情報化省が突然、韓国メーカーが主に生産する三元系正極材バッテリーの安全性に問題があるとして、同バッテリーを搭載した電気バスに対する補助金給付を中断したという。同関係者は「中国自動車技術研究センター(CATARC)の認証を全て受けた三元系正極材バッテリーの安全性がこのタイミングで問題視されるのはおかしい」と語った。

 バッテリーは電気バス価格の半分以上を占める。サムスンSDIとLG化学は昨年末、中国に三元系正極材バッテリー工場を完成させたが、今回の措置が本格実施されれば、工場稼働が難しくなる。同関係者は「三元系正極材バッテリーは日本と中国の一部メーカーも生産しているが、(補助金打ち切りで)韓国メーカーに対する被害が最も大きい。中国は過去とは異なり、目立たずに制裁することに熟達した」と指摘した。

 中国は今回、三元系正極材バッテリーの補助金を中断する一方で、中国メーカーが主に生産するリン酸鉄リチウム(LFP)方式の旧型バッテリーに対する補助金は維持した。中国の電気バスの65%は現在もLFPバッテリーを使用している。しかし、三元系正極材バッテリーを使用した電気バスのシェアも27.6%に達しており、2017年にはシェアが半分にまで高まる見通しだ。新型バッテリーの使用が増える中、中国が自国メーカーの保護だけを目的として、韓国メーカーが主に生産する新型バッテリーへの補助金を中断するとは考えにくいとの分析が聞かれる。韓国外交部(省に相当)の尹炳世(ユン・ビョンセ)長官は、THAAD配備で中国の経済的報復を受けるという一部観測について、「具体的には聞いていない」と述べた。

北京=アン・ヨンヒョン特派員
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