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北朝鮮の核・ミサイルによる挑発にどう向き合うべきか。 カギを握る中国…
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北朝鮮の核・ミサイルによる挑発にどう向き合うべきか。
カギを握る中国は、北朝鮮を崩壊させるような混乱を恐れ、制裁の徹底には腰が重い。
まずは日本、米国、韓国の協力を再構築し、それを土台として、中国を連携に巻き込まなければならない。将来的には、ロシアも含む6者協議の再開につなげることが望ましい。
そこで注目されるのは、米国の高高度迎撃ミサイルシステム「THAAD(サード)」の韓国配備の動きだ。北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射を受け、米韓両政府が協議に乗り出した。
これに中国が反発している。システムの一部として韓国の陸上に配備されるレーダーの探知範囲が中国に及ぶためだろう。米韓は「北朝鮮向け」と説明するが、中国向けの利用も可能だからだ。
韓国は従来、経済関係が深まる中国に配慮してTHAAD配備に慎重姿勢をとってきた。
巨額の費用負担や韓国世論の動向もあり、配備は最終的に決まってはいない。THAAD配備をめぐる米韓の協議は、中国を動かすための外交カードの意味も帯びている。
そこでは、米中両国の亀裂を深めないことが求められる。
日米韓と中国、ロシアに対立構図が生まれれば、地域の平和と安定に悪影響を及ぼしかねない。そのことで北朝鮮への対応が滞るのは、中国にとっても利益に反するはずだ。
気がかりなのは、米国の朝鮮半島に対する関心が乏しいように見えることだ。年明けの北朝鮮の核実験後、オバマ大統領は一般教書演説で言及せず、日韓両政府を落胆させた。
北朝鮮に対し、国際社会が一定の行動をとるのは当然だが、制裁だけで問題は解決しない。対話の窓口をあけておくことが欠かせない。
対話に向けては、米国の役割が大きい。米国と北朝鮮がひざ詰めで話し合わないと、最終的な解決は難しい。
むしろ日韓両国が米国を引き込み、北朝鮮に対して足並みをそろえて向き合う機運をつくってはどうか。
その意味でも、日韓が昨年末に慰安婦問題の政治的解決で合意し、協力を進める基盤が整った意義は大きい。自衛隊と韓国軍の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)も締結に向けて動き始めている。
北朝鮮の暴発は、誰の利益にもならない。その認識を日米韓で共有し、そこを糸口として、中国を含む北東アジアの外交的枠組みを早急に築きたい。
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