日本の植民地時代に強制動員された男性の弟Kさん(92)が「北朝鮮に残ったという理由で、強制動員被害者に対する慰労金の支給を拒否したのは不当だ」として起こしていた訴訟で、大法院(最高裁判所に相当)第1部(李仁馥〈イ・インボク〉裁判長)は9日、原告の訴えを認めた二審判決を支持する判決を下した。
Kさんの兄は22歳だった1943年、日本に連れていかれ、強制的に働かされた後、植民地支配からの解放を受け、現在の北朝鮮にある実家に戻った。6・25戦争が起こると、弟のKさんは南(韓国)側に避難したが、兄はそのまま北朝鮮に残った。大韓赤十字社による調査の結果、兄は北朝鮮ですでに死亡したことが判明した。
Kさんは2009年、「日帝強占下強制動員被害真相究明委員会」から、兄が強制動員の被害者として認定されたとの通知を受け、慰労金の支給を申請した。ところが同委員会は翌年、Kさんの兄が北朝鮮に戸籍を残しているとして、慰労金の支給はできないと通告した。「強制動員犠牲者支援特別法」で慰労金支給の除外対象とされている「大韓民国の国籍を有していない者」に該当するという理由だ。これを受けKさんは10年に訴訟を起こし、一・二審ともに勝訴していた。