介護職はなぜ公務員にできないのですか？

社会主義国家であれば、資本の確実な社会分配を目的としているため
国が主導権を持ち
あらゆる事業に規制強化し、国営化しますが、

資本主義国家の場合、本来、国が行う事業を「サービス」と捉え、
民間に任せ、競争原理の下に運営するのが本来の姿です。そこで、資本は、
出資者に分配され、もう一部は企業内に留保されます。そして一部は税金となります。

むしろ日本は、資本主義国家のくせに、あらゆる業種で社会主義国並に規制が多く
民間に事業を任せることが遅すぎるくらいです。このため、あらゆる面で官僚主義的体質が未だに残っています。

介護も1997年の介護法成立以来、ようやく措置と言う考え方から業としてのサービスと位置づけられたため、
この分野に民間のシステムを主体に行うことが明言されたと捉えてよいでしょう。
つまり、福祉分野をサービス業と捉え、民間の競争原理を使い、サービスの質の向上を目指すと言うものです。

結論ですが、介護職は公務主体とはなり得ません。今後も民間レベルでのサービス提供は強化されます。

しかし・・・・日本の民営化はあまりに状況が悪すぎると言えるかもしれません。

現在の日本が深刻な不況である限り、福祉の予算が限りなく増え続けるため、
たとえ、民営化で質の向上と言っても限界があります。
なぜなら、納入する税金や保険料が低下し、福祉分野を維持する根拠が疲弊するからです。
とくに高齢者率25パーセント以上という超高齢社会においてはますます予算不足となり
税金や保険料を納める世代も給料の目減り、リストラ、ワーキングプアーといった
現役世代の負担能力の低下も、福祉分野の民営化成立の根拠を揺さぶっています。

つまり、今の介護福祉の状態は、利用者から売り上げで、競争原理が動いているのではなく、
その利用料金のほとんどが税金でまかなわれていると言う状況である限り、
これが本当に、「民間活力か」と言う疑問が残ります。

踏み込んで言うなら、1割負担を除いた、45パーセントは税金・45パーセントは保険料
しかし、その保険料も、失業や生活保護の増加、労働人口の低下などで、保険料が
へるなら、その分担率は机上の空論となり「民営化」の根拠も無くなるわけです。

こういう実態なら、国家が主導権をとり、今一度措置＝国営に戻した方がいいのかもしれません。


●北欧諸国はなぜ高度な福祉が実現できるか・・・

ちなみに、北欧の先進福祉大国と呼ばれる国々の基幹産業は非常に生産性の高い
ハイテク軍需産業であるということ。その生産性のよさが、高水準の福祉を支えていると言う実態も
述べておきます。戦車やミサイルをつくり、高度な利益を上げ、福祉が成り立つと言う実態。

日本には、ハイテク産業がありながら基幹産業が衰退しつつあり、それが直接福祉を圧迫している実態がある。
そこでキーワードは日本の武器輸出三原則見直しとなると考えています。
日本も、高度なハイテクを有効に使い、高度な利益を軍需産業で上げる道に踏み切るのでしょうか。

つまり・・・国家財政対策福祉対策のため民主党は武器輸出三原則見直しに踏み切る様子です。
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20111015ddm002010066000c.html

こういう角度から福祉を研究してみるのも面白いかもしれません。

莫大な借金を抱える行政は、現在リストラの最中です。

この様な中で介護職だけ特別扱いして、公務員とはいかないでしょう。
低賃金の仕事はまだまだありますから、それら全部ともいきません。

また大きな声では言えませんが、介護保険制度自体、年金や健康保険と同様で近い将来破綻が確実な制度です。
その様な制度の労働者を公務員にするほどの国力は日本にはありません。

数は少なくなってきていますが、公務員も残っていますよ。
養護老人ホームや公立病院の介護職など・・・

発表する機会があり調べているのであれば、
福祉事業団の成り立ちや４６通知あたり、それから社会福祉協議会の介護保険事業運営など
そのあたりを調べていくと福祉が公営から切り離されていった経緯のヒントになるかと思います。

市町村の運営する施設の介護職員は、市町村の職員の給与に準ずるところも多いと思います。
他企業や有限会社などが運営する施設だと安いんじゃないでしょうか。
そのへんは、ご自身で調べられてはいかが。

すべての職業に共通して、○○はなぜ公務員にすることができないのでしょうか？
という疑問にいきついてしまいませんか。
なぜ介護職だけ公務員になれないのか疑問に思うのですか。
タクシーの運転手だって公務員になれないのは何故って思っているかもしれないよ。
重労働低賃金はどこにでもありますから。