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国会開会 「安倍政治」の総点検を

 第190通常国会が開会した。論戦の推移は夏の参院選の対決構図に影響する。

     安全保障関連法が成立した国会が昨年9月に閉幕してから約3カ月ぶりの開会だけに、議論すべき課題が山積している。第2次安倍内閣の発足から3年を経た「安倍政治」を総点検する場として位置づけたい。

     通常国会が1月に召集されるようになった1992年以降で最も早い開会だ。ただ、年明け国会というイメージとは裏腹に、実際は遅きに失した論戦のスタートである。

     昨年10月の第3次改造内閣発足を受け、野党は憲法53条の規定に沿い、衆参各院4分の1以上の議員署名を得て臨時国会の召集を要求した。だが、安倍内閣は結局、開会に応じなかった。この間に環太平洋パートナーシップ協定(TPP)合意など国民生活に関わる動きがあり、高木毅復興相の政治資金問題のような疑惑も発覚した。開会拒否は国会軽視のあしき前例を残した。

     それだけに、内外の課題への政権の実績が改めて吟味されるべきだ。

     安倍晋三首相は年頭の記者会見で経済重視を強調し、「もはやデフレではない」と胸を張った。ところが「言うのは早すぎでは」と問われると、今度は「デフレ脱却まで来ていないのが事実」と認めた。肝心な部分の認識があやふやでは困る。

     首相はまた「国内総生産(GDP)600兆円」など「新三本の矢」について目標となる「的」だと説明した。ならば、強い経済などを実現する「矢」は何かを語るべきだ。

     消費税の軽減税率導入に伴う1兆円の財源対策や、政府が今国会で承認を目指すTPPの合意内容も一層の説明が求められる。東日本大震災の発生から5年となるのを控え、なお18万人以上が避難生活を強いられている。復興の進め方も集中的に議論すべきだ。

     野党の責任は大きい。民主党は維新の党と衆院で統一会派を結成し、両党には早期の合流論もある。参院選で「1強」自民に向かうため、野党側は安保関連法廃止を掲げ、一部選挙区で候補の調整を図っている。国会での共闘は、その試金石となる。

     とりわけ民主党は単純な政権批判ではなく自ら議論の土俵を作り、参院選の争点を形成する努力がいる。格差是正などで、実現可能なビジョンを示すべきだ。

     参院選では憲法改正の発議を可能とする多数が参院で形成されるかが大きな焦点となる。首相は改憲について「これまで同様、参院選でもしっかり訴える」と語った。国会では党首討論などの機会を積極的に活用し、憲法観など骨太な議論を展開してもらいたい。

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