忘却エンドロール

素敵映画に出会えた時の感動をそのまま書き綴る、映画感想ブログ.

TV映画「ディセンダント」観た

 | ミュージカル  Comment(1) 

ディセンダント
原題:DESCENDANTS
製作:アメリカ’2015 112分
監督:ケニー・オルテガ
ジャンル:★ファンタジー/青春コメディ/ミュージカル

【あらすじ】オラドン合衆国の王ビーストによってバリアで覆われたロスト島に閉じ込められていたディズニーヴィランズたち。王子ベンは、子供に罪はないとヴィランズの子どもたちを学園に呼び寄せる。生まれて初めて島を出たマレフィセントの娘マルたちは、親の命令でフェアリー・ゴッドマザーの魔法の杖を奪うことになるが…。

ファンタジー企画で観ました。
ディーライフで放送してたテレビ映画なんですが、思いのほか面白くて「ハイスクール・ミュージカル」を思い浮かべたら同じ監督さんでした。
ディズニー映画でおなじみの「眠れる森の美女」や「白雪姫」「101匹わんちゃん」「アラジン」の悪役、ディズニー・ヴィランズの子供たちが主役で(タイトルは「子孫」「末裔」の意)、ベルと野獣の息子の戴冠式に招待され、親たちの命令で魔法の杖を奪おうとする話。
ただ同じディズニー実写映画の「マレフィセント」や「101」とは直接関係があるわけじゃなくて、マレフィセント役は「ティンカー・ベル」のロゼッタの声をやってる方だし、クルエラ・ド・ヴィル役も別の方が演じてます。衣装も全体的にショボく低予算丸出しですが、そこはTV用だから(汗)

しかしこの作品、ファンタジーな味付けはされているものの学園ラブコメの王道みたいな展開で、子供たちはみんな完全に現代っ子でした。
「子供に罪はないはずだ」と彼らを呼び寄せたベンは絵に描いたような王子様で、「ティンカー・ベル」のイッケメーン!なテレンスくん並みの好青年なんだけど、その他はムーランの娘も妖精の娘も、みんな良いところも悪いところも持ち合わせた今時の女の子。”犯罪者の子供であること”は意外と気にしてないものの、自分より目立つ存在を排除しようとしたり、逆に仲良くして便利に利用しようとしたりとけっこう腹黒いです(笑)

むしろ、親に愛されたい、期待に応えたいと願いつつ、親の言うとおり”悪い子”になってもいいのか?と悩むヴィランズの子供たちの方が、よっぽどピュアなんですよね。
とくにファレフィセントの娘マルは”悪ぶってるけど根はピュアな美少女”で、杖を奪うためにベンに惚れ薬を盛るものの罪悪感に揺れる姿が乙女!!
このままにしておくのは残酷だからと解毒薬を調合するくだりが胸キュンでした。惚れ薬には「悲しみから流した涙」が必要で、それを入手するのに手間取っていたのに、解毒薬を調合する時にはマル自身が自然に涙を流すんですよ。…もう!可愛すぎるわー!!!

他にも、魔法の鏡を使いこなすイヴィは、努力家で頭もいいのに「本物の王女じゃない」というコンプレックスを抱え、それを乗り越えてマルとも対等な親友になっていきます。
ジャファーに盗みを仕込まれたジェイも、先生のナイスアシストによってスポーツでみんなと協力することの楽しさを知り(チームは家族のようなものと説明したら家庭内も弱肉強食状態で、慌てて「目や耳や腕、脚のどれが欠けても困るだろ?」と言い直した先生ナイス!)、クルエラ・ド・ヴィルの息子カルロスにいたっては、なぜか母親に犬は人間を食べる恐ろしい生き物と吹き込まれ、犬恐怖症を克服する…普通だ!

振り返ってみると本当に普通の少年少女で、ほぼ無法地帯状態にある島で育ったなんて酷い話です。いちおう誰が誰の子供か把握してるのに、そのまま閉じ込められていたわけで…。迫害やん!
だからこそベンの”信じる心”がマルに届いたし、ちょっとした勘違いから恋が始まるんですね~。
終盤の展開もなかなか考えられたもので、マルたちの嘘や母親との対決で一波乱あっても、最後はスッキリいい気分で観終われました♪
明るく楽しいラブコメ・ミュージカルだったと思います。

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映画「雨に唄えば」観ました

 | ミュージカル  Comment(7) 
Tag:スタンリー・ドーネン

雨に唄えば
原題:SINGIN' IN THE RAIN
製作:アメリカ’52 102分
監督:ジーン・ケリー、スタンリー・ドーネン
ジャンル:ミュージカル/コメディ/ロマンス

【あらすじ】トーキー出現によりハリウッドは騒然としていた。スターだったドンはトーキー映画に出演せざるを得なくなるが、パートナーのリナの声はとても人に聞かせられるものではなかった。試写での評判も散々で絶望する彼に、親しくなった新人女優キャシーに手伝ってもらおうと友人コズモが言い出し…。

実はあまり再見する気の起きなかった作品で、名作と名高いのにどうしてだろうと思って重い腰を上げてみました。
そうしたら前半は思いのほか楽しかったです。
自惚れ屋のドンがキャシーに出会って”好きな子に意地悪しちゃう不器用な青年”みたいになっていくところは面白かったし、コズモの壁登りが見られるところや、三人の「グッドモーニング」、有名な「雨に唄えば」など歌も踊りも最高。観てるだけで楽しくなりますよね。
でも、「踊る騎士」のブロードウェイのくだりが長ったらしくて、せっかく盛り上がっていたのに、いつの間にか真顔で観てる自分が…。そうか~、ここが苦手だったのか。
これって主演の男が口出したんじゃないの?と思ったら彼も監督やってたし。ただ、他に文句を言ってる人もあまりいないみたいなので、私の好みの問題なんでしょう。

また、リナさんとコズモの扱いが悪いのが、いまいち乗り切れない理由みたいです。
リナさんのあの絶対的な自信!周りがどんなに微妙な空気を出していても、気にせず(気付かず)自分の演技や声に自信満々なところはさすがスターだし、宣伝向けのドンの言葉や態度を真に受けてしまう単純なところも可愛いじゃないですか。
確かにキャシーに対する仕打ちは酷いけど、あの映画会社もドンも彼女なしには今の成功はなかったはずです。最初からリナを守る方法を真剣に考えていれば、彼女だって強硬手段に出たりしなかったでしょう。いちおう彼女は自分の持つ正当な権利を主張しただけなのに、あそこまでコケにして心が痛まないのか。
ただ、ふてぶてしいリナさんなら、きっとコメディエンヌに転向して復活できるんじゃないかと思っていたり。最後まで脇役扱いだったコズモと組んで劇場を笑いの渦に…とかいいよね。

大好きな作品とはならなかったけど、どこが苦手なのかハッキリしたし、楽しめた部分も多かったので再見してみてよかったです♪

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一言映画感想(2/2~2/10)

 | まとめ感想  Comment(4) 

企画の前にあと一記事アップしたいので、一言感想を無理やり埋めました(笑)
最近早めに寝てるから、あんまり映画を観てない…。

2/10 はに丸じゃーなる「はにスクープSP パクリの境界線を追え!」
またやってましたね!ゆるキャラの回で初めてこの番組に気付いて、何度か見逃して今回やっと観られました。相変わらず毒舌で、聞き辛いこともぐいぐい質問してて大笑いさせてくれます。モノマネのところ、大人の事情でカットされるのが(笑)今夜も楽しみ♪
2/9「リトル・マーメイド II/Return to The Sea」
ファンタジー企画で観ようか迷ったんだけど、どうせ一言感想になるだろうからと鑑賞。王妃になったアリエルが魅力半減でしたね。親にされて嫌だったことを同じように子にしてしまうのは人間も人魚も変わらない。でも、今回はとくに隠す理由がないどころか、理由を説明しなきゃダメなことだったので物語が破綻してる。
2/8「理由(2004)」
再見だと思ってたら、たぶん録画失敗して序盤の嵐のシーンまでしか観てない。全体的に再現VTRみたいな演出は面白いものの、うっすら記憶に残る原作の重厚感はなかった。殺人犯が3人を殺した動機もいまいち伝わってこないし、正当防衛なのになんで逃げるの?と思ったり。あんな状況で正しい判断はできないだろうけど、観ててそう思ったのはやはり切迫感とか伝わってこなかったからだと思う。そして、EDのあの歌で笑わせてくるのは何なんだ(笑)
2/7 名探偵ポワロ15話「ダベンハイム失そう事件」
ホームズでも同じようなネタがあったよね…オマージュ?それともミステリーの定番トリック?でも、警部との賭けで安楽椅子探偵やるところは面白かった。ヘイスは完全にパシリなのに、何故かやる気満々で(笑)部屋で待つポワロさんは、着々と手品をマスターしていくし!しかしこの犯人、周りくどい上にリスクの高い計画を立てたもんだ。
2/2 名探偵ポワロ14話「コーンワルの毒殺事件」
だんだんとね、ポワロさんって案外ミスが多いなと思えるようになってきた今日この頃…。基本的にこのひと驕ってるところがあるので余裕があるというか、被害を受けている人の気持ちより謎解きの高揚感が勝ってしまうというか。一人で帰らせていいのかよ!?と思ったら案の定でした。犯人もすぐわかるし解決方法もスカッとしない。ヘイスの機転はよかったものの、ジャップ警部の扱いは悪くて、全体的に微妙だったかなぁ。
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映画「ジョニーは戦場へ行った」観ました

 | 戦争  Comment(7) 

ジョニーは戦場へ行った
原題:JOHNNY GOT HIS GUN
製作:アメリカ’71 112分
監督・原作:ダルトン・トランボ
ジャンル:★戦争ドラマ

【あらすじ】第一次大戦の中、四肢と顔に大怪我を負った青年が、野戦病院に運び込まれた。目も見えず、耳も聞こえず、喋る事もできないジョーは、自分に意識があることも伝えられず、ただ”生きる肉塊”として看護されていた。孤独と絶望の中、過去の幸せだった頃を思い返すジョーだったが…。

エレファント・マン」や「潜水服は蝶の夢を見る」を連想する、インパクトある作品でした。
戦争によって何もかもを奪われたジョーの現実と、家族や恋人との思い出、そして彼の苦悶が表れた夢を断片的に辿っていくような流れで、思い出が温もりや生きる喜びに溢れているほど、絶望がより深く、より暗く映ります。
モノクロとカラーの使い分けも効果的で、温かみのあるカラーからモノクロに切り替わる時、五感のうちのほとんどを失ったジョーの感覚が少しだけ想像できました。
だからこそ、お日様の温かさを肌で感じ取った瞬間や、嫌悪感を持たない看護師の手に触れた時、今がいつなのかわかった時の彼の感動が伝わってくるんですよね。
これほど「メリークリスマス」の言葉が感動的に思える作品はそうないでしょう。

また、序盤の恋人とのラブシーンも初々しくて、心から想い合っているのが伝わってきてよかったです。お父さん公認だし、微笑ましくって。
ただ、戦争に行くのを最後まで引きとめようとしていた彼女が、彼の夢の中でも何度も「行かないで」と繰り返しているのが、彼の後悔を表していて切なかった。家族を養うためというのもあったんでしょうね…。
そして、父親との想い出も全部良かったです。「この釣竿以外誇るものがない」とか言っていても、いざ息子がそれを失くして夜遅くまで探していれば「たかが釣竿じゃないか」と優しく声をかける…。いいお父さんです。
他にも、彼の内面の対話の相手として描かれるサザーランドのイエス様とか、彼を人間として扱った看護婦さん、彼に意識があるとわかった時の周りの反応など印象に残るシーンは多かったものの、一番印象に残ったのは、序盤の母親との思い出で、キッチンの片隅にいるひよこと猫とネズミのシーン!
弱肉強食の世界でも足りていれば仲良くできるのに、人間は足りていても独り占めしようとする奴らがいるから無駄な争いばかりしてるという…。そういう意味で入れたシーンなのかはわからないけど、妙に印象に残りました。

断片的なエピソードの積み重ねなので、感動が波のようによせてはかえす感じでしたが、最後の絶望感はけっこう驚きましたね。夢の中ではジョニーが笑っているシーンが案外多かったので。(おかげで暗くなりすぎずよかった)
「祖国に命をささげることは美しく輝かしい」という皮肉を込めた一文で締めくくられるところに、赤狩りに抗う監督の強い意思を感じました。
あと、入隊奨励のスローガン「ジョニーよ銃を取れ」をもじったという原題「Johnny Got His Gun(ジョニーは銃を取った)」もさすがです!

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映画「奇跡の人(1962)」観ました

 | 伝記/自伝/実話  Comment(4) 

奇跡の人(1962)
原題:THE MIRACLE WORKER
製作:アメリカ’62 106分
監督:アーサー・ペン
原作:ウィリアム・ギブソン
ジャンル:★ドラマ/伝記

【あらすじ】生後19ケ月で熱病に罹り、視力と聴力を失ったヘレン。両親の努力もむなしく、7歳になってもコミュニケーションを取ることは難しかった。そんな時、自身も盲目を克服した女教師アニー・サリヴァンが現れ、暗闇の中にいるヘレンを言葉という光で救い出そうとするが…。

とにかくヘレンの演技が素晴らしくて圧倒されました。本当に目が見えず耳が聞こえないかのような演技です。
そして、サリヴァン先生が食事のしつけを始めてからがさらにすごくて、『ヘレンVSサリヴァン』と題したくなるような壮絶なバトルを繰り広げてくれます(笑)
スプーンを握らせてはヘレンがそれを投げ捨て、すかさず次のスプーンを握らせ…のエンドレスのくだりは、ふたりとも髪を振り乱して本気で闘ってるよう。
激しい演技のぶつかり合いに、もはや『このふたりすげー』としか思えなくて、演技を演技として捉えてしまうのはある意味物語に入り込めてないような気もするけど、それでも目が離せないんですよね。”演技合戦”と”ヘレンとサリヴァンの根競べ”がいい具合に重なって、本気度が伝わってきてるんだと思います。

試行錯誤しながら少しづつ指文字を教えていくくだりもよかった。それが物の名前だということも、自身が求めていたものだということもわからず、ゲームとして覚えていくヘレンと、言葉が彼女に光を与えると信じて根気良く教え続けるサリヴァン先生。
一方両親は、不安や寂しさ、哀れみなどを抑え込みながら、じっと約束の日を待ちます。今まで色んな人に匙を投げられて、もうヘレンが自分たちと同じ人間だとは考えないように…とさえ思い始めていた彼ら(主に父と兄だけど)が、一縷の望みをかけて待っているからこそ、サリヴァン先生の努力を応援したくなります。
ヘレンの兄の心変わりの描写はあっさりしていたものの(弟と同じ名前だったくらいだし、原作ではもっと出番が多そうなのに)、突然やってきた”その時”の描写も感動的でした。
特別なきっかけがあったとかじゃなくて、本当にふいに目の前が開ける感じ。どうして今までわからなかったんだろうと頭の中がクリアになっていくような感覚って、誰でも一度は味わったことありますよね。
その感動に打ち震える瞬間を、パティ・デュークが見事に演じてくれました。
…彼女の演技が突出しすぎて他の人が霞んで見えるくらいでしたが(汗)

しかし、この作品で描いているのはヘレンが言葉を理解するまでなんですね。原題の意味は「奇跡をおこす人」=サリヴァン先生のことだから、ここまで十分ともいえるけど…。ヘレンが社会福祉に身を捧げていく後編とかあれば喜んで観たのに!

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