NHKスペシャル 老人漂流社会
ドキュメンタリーの内容を要約すると、以下となる。
なぜ老人は定住できないのだろうか?その理由は、終末期にも高度医療(延命治療)を受けたがるからである。最終的に、日本人の80%が病院で死ぬのだが、そこまでの道のりがひどく長い。
ドキュメンタリーの内容を要約すると、以下となる。
- 金がないから、終身介護の老人施設に入れない人が多い。自己負担額の安い特養は入所待ちの待機老人が膨大にいる。
- 生活保護を適用すれば、老人施設に入れるが、月極契約なので、終身介護ではない。落ち着かない。
- 頻繁に住居を変更させられて苦痛である。
- 終末期まで、同じ場所に定住できるような環境を整えるべきだ。
なぜ老人は定住できないのだろうか?その理由は、終末期にも高度医療(延命治療)を受けたがるからである。最終的に、日本人の80%が病院で死ぬのだが、そこまでの道のりがひどく長い。
世論調査をすると、
「延命治療なんていらない、苦痛を取るだけでいい。自宅で死にたい」
という答えが大半だが、自分や家族が終末期になると、考えが変わる。自宅や老人施設から出て、病院に入ることを望む。病院に入れば、死の恐怖や苦痛から逃れられると思っているのだ。実際は逆で、揺れる自動車で長時間搬送され、慣れない病室に入れられ、集中治療をされて、苦痛が増える。
このドキュメンタリでは、老人施設入所時に、老人に対して、職員が、
「状態が悪化したら最高度の延命治療をしますか?」
と聞くと、本人が
「出来る限り、延命させてほしい」
と答える場面がある。本当に、こういう人ばかりなのだ。
危篤になると、大半の老人は、病院に搬送される。病院に入院して、治療を受けて、小康状態になると、経営上長期入院ができないので、退院して、老人施設に入所する。継続的な医療処置が必要なので、自宅復帰は難しい。悪化すると、再び病院に入院する。日本人の終末期は、病院と老人施設との往復運動である。
いったん老人施設に入所しても、そこから病院に入院すると、老人施設は空室ができるから、別の人を入れて、稼働率を維持する。老人は元の施設には戻れなくなって、病院から退院すると、別の施設に入ることが多い。これが、頻繁に住居が移動する理由の一つである。
1000万円以上の一時金を払って、老人施設と終身利用契約をしたのに、最後までめんどうみてもらえない、詐欺だという話がある。確かに悪質な老人施設もある。しかし、大半のケースは、本人および家族が、病院への入院を望むのである。
老人が定住できないのは政府の福祉政策のせいではない。老人や家族が、延命治療を望むからである。定住して、落ち着いて人生の最後を迎えたいなら、受ける医療は、往診と外来だけにしておけばいいのである。入院しなくても、緩和ケア(苦痛を取ること)は十分にできる。
井上晃宏 医師
「延命治療なんていらない、苦痛を取るだけでいい。自宅で死にたい」
という答えが大半だが、自分や家族が終末期になると、考えが変わる。自宅や老人施設から出て、病院に入ることを望む。病院に入れば、死の恐怖や苦痛から逃れられると思っているのだ。実際は逆で、揺れる自動車で長時間搬送され、慣れない病室に入れられ、集中治療をされて、苦痛が増える。
このドキュメンタリでは、老人施設入所時に、老人に対して、職員が、
「状態が悪化したら最高度の延命治療をしますか?」
と聞くと、本人が
「出来る限り、延命させてほしい」
と答える場面がある。本当に、こういう人ばかりなのだ。
危篤になると、大半の老人は、病院に搬送される。病院に入院して、治療を受けて、小康状態になると、経営上長期入院ができないので、退院して、老人施設に入所する。継続的な医療処置が必要なので、自宅復帰は難しい。悪化すると、再び病院に入院する。日本人の終末期は、病院と老人施設との往復運動である。
いったん老人施設に入所しても、そこから病院に入院すると、老人施設は空室ができるから、別の人を入れて、稼働率を維持する。老人は元の施設には戻れなくなって、病院から退院すると、別の施設に入ることが多い。これが、頻繁に住居が移動する理由の一つである。
1000万円以上の一時金を払って、老人施設と終身利用契約をしたのに、最後までめんどうみてもらえない、詐欺だという話がある。確かに悪質な老人施設もある。しかし、大半のケースは、本人および家族が、病院への入院を望むのである。
老人が定住できないのは政府の福祉政策のせいではない。老人や家族が、延命治療を望むからである。定住して、落ち着いて人生の最後を迎えたいなら、受ける医療は、往診と外来だけにしておけばいいのである。入院しなくても、緩和ケア(苦痛を取ること)は十分にできる。
井上晃宏 医師