人脈があると自負するベテランが売り込みに来たら…
「人脈営業」という言葉がある。この「人脈」という言葉が厄介なのだ…。
社員採用するかどうかはさておき、こういう年配の方が最近目立つ。
- 私は○○社の役員を知っている。
- 私は○○社の担当を以前していた。
- 私と○○先生はおつきあいがある。
これらの「人脈」を売りに、営業採用をしてもらおうという輩である…。
(注)営業採用とは「従業員」に限らない。代理店契約でも顧問契約でもケースは様々なものがある。この記事は従業員と言うよりは後者の顧問や代理店的な意のほうが近い。
(大きな)売上が欲しい経営者はついコロっと口車に乗ってしまい、こういう方に多額の顧問料を払ってしまうケースがある。もちろん、非常に多くの利益をもたらす方もいるので、そういう人に当たった経営者は非常に幸運なのだろう。
経験則で大変恐縮だが、こういう話を持ちかけてくる人は注意が必要だ。
コミッションを混ぜた契約をするので、低リスクに見えがちだが、私は高リスク人材と認定することの方が多い。
そもそも、自社の事業モデルは、そういう人脈で契約が取れそうなものなのか?
最初にこの検証をせねばならない。人脈営業が成立しやすい事業モデルの特色は「差別化が困難であること」である。差別化がそもそも難しいので、それを超える「脈」で脈を上げる考え方なら分かる。価格競争下における業種なら効果があるのかもしれない。
踏まえて、こういう輩の見極め方を以下記載する。
人脈を売りにする人物の見極め方
- その人脈はいつ出来たのか?
その輩が言うその「人脈」はいつ形成されたものなのか?この情報は入れておいた方がいい。意外と何かの会合で名刺交換をした程度の人脈も少なくない。 - 人脈のあるとされる人物とは普段どういう会話をしているのか?
この中身によっては採用効果があるかが決まる。よく飲みに行っていろんな会話をするといった場合、奢られるばかりでなければ脈はある。奢ってもらってばかりの人は奢る側からすると、ただのコバンザメ。コバンザメのお願い事を聞いてくれる確率はそう高くない。奢って、奢られるバランスがあれば、それはwin-win関係を示唆しているので会話レベルも同列であることが想像できる。 - どういう魅力があってその人と付き合いが続いているのか?
例えば「ゴルフ仲間」というならば、非常に危険だ。ゴルフ仲間を否定しているのではない。ゴルフだけというのが危険なのだ。仕事>ゴルフならいい。仕事つながりでゴルフにまで発展していると想像できるからだ。仕事<ゴルフでは、ゴルフの時しか話せないことを示唆する。つまり、ゴルフという身の入らない場でしか商売の話ができない。もっと言うと、ゴルフ場でしか会話できない程度の関係という見方も出来る。
人間性に問題はないか?
ここまでは人脈の真偽や意味合いを探る話だったが、その輩の人間性についても触れておこう。
- 謙虚に自社の話を聞いてくれるか?
これがないと絶対にやめた方がいい。どんなにビッグネームを引き合いに出されたとしてもだ。 - 自社のサービスを理解してくれるか?
理解しないのに人脈だけで売れるのか?顧客に与えるメリットを正確に理解してくれるのか?もっとも、差別化が困難なモデルであれば、これを細々と理解する必要はないのだが。おおまかに理解くらいしておかないと結果的に見込みにはならない。
景気が悪くなったりすると、大手出身の年配営業がリストラされて、こういうマーケットに流出してくることがある。
「私は◎◎会社で営業部長でした」などと売り込んでくる。
いろんな方を見てきたが、人脈自慢は本当に気をつけなければ、金のトラブルになったり、コミッション欲しさに不要な注文を取ったりで、赤字仕事を強いられることもある。
低リスクのはずが、結果として高リスクに化けるのだ。
要職にはひとまず採用しないのが無難…
最悪なのは、こういう輩を営業部長などの要職に採用したときだ。
営業のプロと言わんばかりに好き勝手に動く。マネジメントなどできないのだ。
すべてを経験で語る。しかも狭い経験で…(ー ー;)
若手をつぶすことにもなりかねない。
要職に就かせるのはきちんと見極めをしてからにした方が無難である…
<推薦図書>
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書籍名:一生仕事に困らない! 「活きた人脈」の作り方・育て方
著者名:加納 亜季