ゲストハウスっていつも、自転車で全国一周(通称チャリダー)とかバイクと共にフェリーで海を渡ってきたとか(通称ライダー)、バックパッカーとか、なんか旅の日数の規模が違う浮世離れした人が多いのですが、その日は珍しくごく普通の、出張帰りのサラリーマンが泊まっていました。
で、話の流れとして必ずきかれるんですよね。
「お仕事なにしてるの?」
無職です。
出張帰りのお父さんを前に非常に言いづらかった!
なんとなく前の会社の、優しくて気さくだけどバブル引きずってる心配性だった元上司を思いだした!
「次の仕事先も決まってなくて将来どうするんだ。」とか、「年金どうするんだ。」とか、「せめてお嫁に行くあてぐらいは、」とかね。
でも本当に私が会社辞めるって決めたときは、全部のみ込んで送りだしてくれたのも覚えてるよ。
私って、上の世代が安心しそうな将来とやらが腑に落ちないとだだをこねて、堅実さもないままわがまま放題。
わかってる、わかってるさ。心配してくれてるのにごめんね。
けれど目の前のその人は言いました。
「そういう時期も大事だよね。」
いやあさすが社会人。
初対面の相手はとりあえずスッっと肯定する社交辞令、鮮やかです。
・・・とか思ってたんだけどね。このあと続く言葉が予想の斜め上でした。
「僕もずっと働いてた会社が倒産しちゃってね、しばらく無職だったんだよ。」
えええ!?
「当時はショックだったけどさ、無職になったからこそ、前職と全く関係ない資格の勉強に一日中のめり込めたんだよね。働きながらだと本当にやりたい勉強でもする時間なかっただろうから、逆によかったと思ってるよ。その資格を強みにして今、再就職してサラリーマンやってるんだ。だから好きなこと好きなだけやった方がいいよ。若いならなおさら。」
うっそおおおすごいねおっちゃん!
さらっと言ってるけどすごいね!
無職というだけで微妙な空気が流れなかったことにほっとする反面、無職期間中に留学するでもなく勉強するでもなく本当に好き放題漂っているだけの自分に、ちょっとだけ引け目を感じてしまいました。
やりたいことが未来の仕事に繋がる人なんてきっとほんの一握りで、「したいようにしたらいい。」なんて経験談はたぶん結果を出した強者の理論で、だからといって私にはバブリーな元上司を安心させるような器用さもなくて、たぶんまだまだ旅は続く。
↓↓ ほかの旅先話もあるよ!