【寄稿】北朝鮮についてあまりにも無知な韓国の高校生

 ある日、ある生徒が「私はこの韓国が嫌いです。北朝鮮に行くことはできませんか」と質問してきた。その質問を受けた時、残念というよりも怒りがこみ上げてきた。このような質問が出るとは、韓国の学校では北朝鮮について一体どのように教えているのか。北朝鮮の高校3年生は、冬の放課後には毎日屋外や時には山にも出掛け、山菜やたきぎを拾う。決められただけ持ってくることができなければ、食糧の配給が減らされるからだ。それに比べると韓国の生徒たちは飾り物あるいは観賞用の植物のようだ。北朝鮮の実情について1回でも正しく学んでいれば、学校でこのような質問を受けることもないはずだ。

 北朝鮮では徴兵期間が男子が12年、女子は6年だ。このことを伝えると、韓国の生徒たちは驚いてしまう。ところが中にはこれを信じない生徒たちもいる。そのようなときに私は「韓国では徴兵期間の21カ月を長いといって嫌う人もいるが、これは大変なことだ」と彼らに伝える。核問題についても「統一が実現すれば、北朝鮮の核兵器も韓国のものになるのだから、なぜこれをなくそうとするのか」などと言う高校生がいる。つまり大韓民国の高校生たちは北朝鮮の実情についてあまりにも無知で、また安全保障という概念さえ持ち合わせていないのだ。

 戦場で勝敗を分ける最も重要な要素は精神力だそうだ。北朝鮮では子供が幼稚園の時から思想教育を徹底して行う。それに対して韓国の生徒たちは、自分たちの敵が誰なのか、なぜ北朝鮮と戦わねばならないのかさえ分かっていない。教育現場がここまで崩壊したのはなぜだろう。脱北者として北朝鮮の実情を伝える以前に、韓国の高校における悲惨な実情を目にするのは非常に悲しいことだ。

キム・ジスクさん(仮名)=脱北・統一安保教育講師=
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