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<川崎転落死>神奈川県警、本格捜査3件目後 情報共有遅れ

毎日新聞 2月16日(火)13時16分配信

 川崎市幸区の有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」(積和サポートシステム運営)で入所者3人が転落死し、神奈川県警に殺人容疑で逮捕された元施設職員の今井隼人容疑者(23)=横浜市神奈川区立町=が「ベランダから投げ落としたことは間違いない」と容疑を認めている事件で、Sアミーユ川崎幸町で入所者の転落死が相次いでいるとの情報が、神奈川県警内部で共有されていなかったことが分かった。現場で対応した幸署が3件目の初動の捜査を終えた数カ月後、初めて不審な点があると県警本部に報告した。

 捜査関係者によると、2014年11~12月に起きた3件の転落死では、いずれも幸署員が鑑識活動などを行った。県警本部の検視官も現場で遺体を確認した。だが以前にも施設で転落死が発生しているとの情報がなく、県警本部は「連続転落死」とは捉えなかった。県警は転落による外傷以外に目立った傷がなかったことから転落死として司法解剖をしなかった。

 一方、ベランダに設置された柵は高さ約120センチで、死亡した3人の入所者は86~96歳と高齢で身長が約150~160センチだった。3人が自分で乗り越えるのが困難とみられる点もあったため、県警は「変死」と判断したが、3件目の転落死の初動捜査から数カ月後、幸署から施設で転落死が続いているとの報告があり、本格的な捜査を始めた。

 こうした経緯を踏まえ県警は昨年8月、同一施設での死亡事案に関する情報を直ちに共有できるようシステムを改善したという。

 川崎市によると、1件目と2件目の転落死が発生した後、施設側から報告があった。担当者は2件連続したことを不自然に感じたが、県警から「事故」との説明を受けたため、施設側への聴き取りなどはしなかったという。【村上尊一】

最終更新:2月16日(火)15時10分

毎日新聞

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