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[FT]欧州金融市場、戻って来た「有害な双子」と危機

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2016/2/16 6:30
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 先週の欧州金融市場の総崩れは、重大な転機となる出来事だった。我々が目の当たりにしたものは、必ずしも株式の弱気相場の始まりではなく、将来の景気後退の不確かな前触れでもなかった。我々が見たものは――少なくとも、ここ欧州では――金融危機の再来だ。

 ユーロ圏危機の「バージョン2.0」は、いくつかの点では最初の危機ほど恐ろしく見えないかもしれないが、別の点では悪化している。債券利回りは当時ほど高くない。ユーロ圏には今、救済の傘が備わっている(欧州安定メカニズム=ESM=など金融危機時の救済措置を指す)。銀行のレバレッジの水準は、当時より低い。

ドラギECB総裁。ECBは4年間、インフレ目標を達成できていない(1日、ストラスブール)=ロイター
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ドラギECB総裁。ECBは4年間、インフレ目標を達成できていない(1日、ストラスブール)=ロイター

 しかし、銀行システムの問題は一掃されておらず、ゾンビ金融機関がたくさん存在し、2010年とは対照的に我々はデフレ環境に置かれている。欧州中央銀行(ECB)はこれまで4年間、インフレ目標を達成できておらず、今後何年も達成できない可能性が極めて高い。

■銀行同盟の失敗

 市場は4つの明確なメッセージを送っている。最初の最も重要なメッセージは、有害な双子が戻って来たこと。つまり、銀行とその本拠の国家との相互作用だ。先週の銀行株の暴落は、ユーロ圏周縁国の債券利回り上昇と同時に起きた。このパターンは10~12年に起きたこととよく似ている。国債利回りは当時と同じような目のくらむ高さには達していないが、ポルトガルの10年債利回りは4%に迫っている。

 高い国債利回り、拡張的な財政政策、持続的に高い公的部門・民間部門の債務水準、それに低い経済成長率という組み合わせは、明らかに持続し得ない。イタリアの状況はポルトガルのそれよりましかもしれないが、それでも持続不能だ。イタリアの10年債利回りは1.7%を超えた。これに対し、ドイツ国債の利回りは0.2%を若干上回る程度だ。この利回り格差、いわゆるスプレッドは、金融システム内のストレスを示す尺度であり、その基準は再び高まっている。

 金融市場は我々に、12年のマリオ・ドラギECB総裁の誓いに対する信頼を市場が失いつつあることを告げている。ユーロ圏の加盟国を投機的な攻撃から守るために「必要なことを何でも」すると約束したことだ。ドラギ総裁はこの約束でユーロ圏危機の第1段階を終わらせたが、それには代償が伴った。根本的な構造問題を解決する切迫感が、突如、消えてしまったのだ。

 2つ目のメッセージは、欧州の銀行同盟が失敗したということだ。欧州連合(EU)が行き着いた銀行同盟は、ひどい妥協の産物だった。銀行の監督権限と破綻処理制度が一元化されたが、預金保険はなく、経営難に陥った金融機関を救済する政府のバックストップ(安全装置)もないのだ。

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