トップページ社会ニュース一覧笹子トンネル事故 当時の社長らへの訴え退ける判決
ニュース詳細

笹子トンネル事故 当時の社長らへの訴え退ける判決
2月16日 15時21分

笹子トンネル事故 当時の社長らへの訴え退ける判決
k10010411201_201602161519_201602161521.mp4
中央自動車道の笹子トンネルで起きた天井板の崩落事故で、死亡した5人の遺族が、中日本高速道路と子会社の当時の社長ら役員4人に損害賠償を求めていた裁判で、横浜地方裁判所は「4人については事故を予測できたとは認められず、過失があったとは言えない」として、訴えを退ける判決を言い渡しました。
平成24年12月、山梨県の中央自動車道の笹子トンネルで天井板が崩落した事故で、死亡した9人のうち、東京都内に住む27歳と28歳の男女5人の遺族合わせて12人が、トンネルを管理する「中日本高速道路」と安全点検を行う子会社「中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京」、それぞれの事故当時の社長ら役員4人に、合わせて2400万円の損害賠償を求めていました。
裁判で、遺族は「4人が事故の3か月前の点検で、天井板を固定していたトンネル上部のボルトの周辺をハンマーでたたいて異常がないかを確認する打音検査など十分な点検を従業員などに行わせていれば、事故を防ぐことができた」などと主張しました。
これに対し、4人は「点検に関わる立場にはなかったうえ、事故を予測することはできず、過失はなかった」などと反論していました。
16日の判決で、横浜地方裁判所の市村弘裁判長は「事故が起きたことについて、会社組織としての問題点を指摘することはできるが、当時の社長ら4人は、施設の管理に直接従事していたわけではないので、事故を予測できたとは認められず、過失があったとは言えない」などとして、遺族の訴えを退けました。
死亡した5人の遺族が中日本高速道路と子会社に損害賠償を求めた裁判では、去年12月、横浜地方裁判所が、会社側の過失を認め、合わせて4億4000万円余りの賠償を命じる判決を言い渡し、会社側と遺族ともに控訴せず、判決が確定しています。

遺族「このままでは誰も責任とらない」

判決を受けて、事故で亡くなった石川友梨さんの父親の石川信一さんは「予想はしていたが、残念です。このままでは、人命を失う重大な事故の責任を誰もとることにならず、判決は不服です」と話していました。
また、亡くなった松本玲さんの父親の松本邦夫さんは、「判決では当時の社長らが笹子トンネルの構造を知らなかったとされたが、『知らない』という経営者が増えれば、誰も責任をとらなくなってしまう。今後も裁判を続けていきたいと思います」と話していました。
さらに、亡くなった小林洋平さんの父親の小林寿男さんは、「会社の責任者が事故を予測できなかったと指摘した判決は、おかしいと思います」と話していました。
遺族の代理人の立川正雄弁護士は、「事故の最大の原因は会社の運営体制にあったというのが遺族の考えだったが、会社を運営する責任者の過失が認められず、残念です。控訴については遺族の意見を取りまとめて決めたい」と話していました。

当時の社長「改めて深くおわび」

事故当時、中日本高速道路の社長だった、金子剛一相談役は、「事故で大切なご家族を失われたご遺族に対し、改めて深くおわび申し上げます。私としても会社側の過失を認めた去年12月の判決を重く受け止め、この事故で亡くなられた皆様に改めてご冥福をお祈り申し上げます」とコメントしています。
また、中日本高速道路は「今回の訴訟に関して、会社としてはコメントを差し控えたい。なお、二度とこのような事故を起こしてはならないという深い反省と強い決意のもと、ご遺族の皆様や被害に遭われた方々に真摯(しんし)に対応していくとともに、グループを挙げて再発防止と安全性向上に徹底的に取り組んでまいります」としています。
中日本高速道路の子会社で、安全点検を行う「中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京」は、「改めて笹子トンネル事故でお亡くなりになった方々のご冥福を心からお祈り致します。判決については重く受け止め、高速道路の安全性の向上のために職責を果たして参ります」というコメントを出しました。

関連ニュース

k10010411201000.html

関連ニュース[自動検索]

このページの先頭へ