久永隆一
2016年2月16日10時01分
自殺対策を国や自治体の責務と定めた自殺対策基本法が今国会で改正される。自治体ごとに自殺対策の計画づくりを義務づけることが柱。基本法施行から10年を迎え、自殺者数は減少傾向にあるが、実効性を高めるため地域の実態に合ったきめ細かな対策を促す。
超党派の議員連盟「自殺対策を推進する議員の会」(会長・尾辻秀久元厚生労働相)が改正案をまとめた。参院厚労委員会の与野党の筆頭理事は15日、全会派の賛成が前提となる委員長提案で18日に可決することで合意。年度内に成立させ、4月の施行を目指す。
国内の自殺者数は2011年まで14年連続で3万人を超えた。その後、景気の回復基調を背景に中年男性の自殺が減り、警察庁によると15年は2万4025人(暫定値)で18年ぶりに2万5千人を下回った。それでも毎日65人が自殺で命をなくしている計算だ。
06年に施行された現行法では政府に自殺対策の大綱づくりを求めているが、自治体の取り組みは自主性に委ねられている。今回の改正は、自殺の兆候を見落とさないように「気づき」の窓口を細かく張り巡らせる狙いがある。
改正案では、すべての都道府県と市区町村に自殺者の年代や性別、職業などの傾向の分析を踏まえた計画づくりを義務化。例えば無職の中高年の場合、仕事や家庭など悩みが多岐にわたる可能性があるため、悩みの内容に応じて自治体が支援先につなぐ仕組みづくりを想定する。
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朝日新聞官邸クラブ
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