2016-02-16
■男たちはなぜ死を賭してまで戦ったのか 特攻の島 
佐藤秀峰といえばなにかと話題の漫画家である。
代表作は「海猿」「ブラックジャックによろしく」など。ドラマ化も映画化もされている売れっ子だ。
僕も海猿は連載当時から楽しみに読んでいたし、ヒロインに主人公とは別の婚約者がいるのも新鮮だった。陸でのコミカルなストーリーと、海でのシリアス過ぎるストーリー展開のコントラストが実に面白いと思って印象に残っていたものだ。
しかしその舞台裏では、気に入らないことも少なくなかったらしい。
- 作者: 佐藤秀峰
- 出版社/メーカー: 佐藤漫画製作所/漫画onweb
- 発売日: 2014/05/30
- メディア: Kindle版
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そして今は新しいマンガのエコシステム構築を目指して「マンガonウェブ」(http://mangaonweb.com)を主宰。
行動力、バイタリティ、そしてつくり上げる作品のクオリティ。
すべてにおいて超一流。そして超一流ゆえのどこか「面倒くさい人だなあ」という感じがプンプンする。
さて、「特攻の島」である。
あらゆる意味で「面倒くさい人」でなければ書けない。暑苦しい人しか書けないマンガである。
海猿で海上保安庁を描いた作者なので、海モノはお手の物なのか、しかしこの物語は、ある意味で21世紀の日本ではどことなくタブー視されている、大日本帝国海軍の秘密兵器、人間魚雷回天を描いたものである。
人間魚雷回天とは、一人乗りの小型潜水艦に爆弾を満載し、一撃必殺の戦法でもって敵を撃滅する必殺兵器である。
有視界の飛行機で突っ込む神風特攻隊と違い、人間魚雷回天は小さな潜望鏡と己の耳、そして秒単位で時間を計測できる時計しか自分の位置を知る方法がない。
一度出撃すれば、搭乗員は必ず死ぬ。
故の、必殺兵器である。
相手じゃなくて自分が死ぬ。
絶望的な戦局を覆すための必殺兵器、回天隊の搭乗員は特別な訓練を受け、必殺の信念を持って潜水艦に搭乗する。さすがの艦これにも回天は出てこないだろう。それくらい悲壮で、戦争の暗部そのものだ。とてもじゃないがエンターテインメントの題材としては難しい。
しかし佐藤秀峰は敢えてそれをやる。
それが「特攻の島」である。
徳山に設置された秘密基地。
そこでは日夜、人間魚雷回天の訓練が行われていた。
このマンガは重い。
あまりにも重すぎる。
1巻を初めて手にとった時には衝撃が大きすぎてしばらくご飯を食べれなかった。
2巻を読んだ時は思わず涙が溢れた。
その特攻の島が、今ならなんと8巻揃って88円で買える。
1巻は11円だ。
読むかどうかはともかく、買っておいて損はない。
- 作者: 佐藤秀峰
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たぶん9巻が最終巻になるので、そのプロモーションなんだと思うが、さすが佐藤秀峰、圧倒的な筆力である。
佐藤秀峰が佐藤秀峰らしいマンガといえば、おそらくこの作品をおいて他にないだろう。
ふつうの雑誌に連載するにはテーマが重すぎる。
このマンガを読むと思わず靖国神社に参拝に行きたくなるかもしれない。
祖国を護る若者たちがどんな思いで散っていったか。
そしてまた、特攻とはどれだけバカバカしく虚しい戦法だったか。
そういういろいろが全て凝縮された作品だった。
9巻が待ち遠しい
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