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[FT]科学者が人工知能による大量失業に警鐘

2016/2/15 14:00
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 人工知能(AI)とロボット工学の進歩が大量失業を引き起こし、運転手から売春婦まであらゆる労働者が影響を受ける可能性を科学者たちが警告している。

ロボットを製作するロシア人エンジニア。金属加工品の展示会に出品予定で、中古車の部品から作り上げた(本文とは関係ありません)=ロイター
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ロボットを製作するロシア人エンジニア。金属加工品の展示会に出品予定で、中古車の部品から作り上げた(本文とは関係ありません)=ロイター

 コンピューター科学者らは週末にワシントンで開かれたアメリカ科学振興協会の会合で、知能を持つ機械が近い将来経済のすべての分野で人間に取って代わるだろうと語った。

 テキサス州ライス大学のコンピューターサイエンス教授であるモシェ・バルディ氏は「ほぼすべての仕事で機械が人間を上回る時代がもうすぐやってくる」と話した。

 「自分たちの身に起こる前に社会はこの問題に向き合う必要がある。もし機械が人間ができるほぼすべての仕事をできるのなら、人間は何をすればいいのか。よくあるのは、自由に娯楽を追い求めることだという答えだ。私は娯楽だけの人生が魅力的だとは思わない。私は人間の幸せには仕事が不可欠だと信じている」

■今後25年間で自動運転車ばかりに

 コーネル大学のコンピューターサイエンス教授であるバート・セルマン氏は「AIは学術研究から現実世界のものへと急速に移行している。コンピューターは人間がするように『聴く』ことや『見る』ことができるようになり始めており、システムは我々に混じって自律的な動作や活動ができるようになりつつある」と述べた。

 同氏は、グーグルやフェイスブック、IBM、マイクロソフトといった企業がAIシステムへの投資を年間数十億ドル規模に拡大していると話す。

 バルディ氏とセルマン氏は、政府はAIやロボットの研究が加速している状況に正面から向き合っていないと指摘する。

 セルマン氏は昨年マサチューセッツ州ケンブリッジの「フューチャー・オブ・ライフ・インスティチュート(FLI)」による公開書簡の作成を手助けした。これはますます知能を高める機械に関するリスクの調査を政策決定者に要請したものだ。

 セルマン氏によると、AIで最も発展が著しい分野の一つが「マシンビジョン」だ。この技術は車の自動運転に応用されており、科学者らは今後25年間で道路は自動運転車で埋め尽くされると予想している。

 自動運転の支持者はこれで事故を90%以上減らせると主張する。

 セルマン氏は「非常に多く人々の命が救われ、けがが防げるのであれば、誰しもこれに反対するのは道徳的にとても難しいだろう」と話した。依然として米国の職業の約10%が車両の運転を伴うものだ。

 バルディ氏は、ロボット工学やAIに影響を受けない職業を挙げるのは難しい――たとえ売春でも――と言う。「あなたは売春ロボットが出てこないほうに賭けますか。私なら賭けませんね」

By Clive Cookson

(2016年2月15日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

(c) The Financial Times Limited 2016. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.


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