梶ピエールの備忘録。 RSSフィード

2016-02-12

Voice12月号のケント・ギルバート氏の論説について

 2月10日発売の『Voice』3月号の「中国経済をどう見るのか」という特集に、他の識者とともに中国経済の見通しについての短い一文を寄稿しました。中国経済はデフレからの脱却を図るべきだが、為替制度がその足かせになっている、というこれまで繰り返してきた論点を述べています。他の方々がそろって国有企業改革などの供給側の要因を重視されているのに対し、私一人だけ金融政策と需要サイドの問題点を強調して「浮いている」感がありますが、日本の失われた20年の経験を考えればデフレ状態のまま供給サイドの改革を急激に進めることのリスクは明らかだと思います。

 さて、上記の一文を寄稿した後に気が付いたのですが(IRONNAに転載されていたためエゴサーチで引っかかった)、同じ『Voice』の12月号にケント・ギルバート氏が寄稿した一文の冒頭に、私が全く言ったり書いたりしていない内容のことをあたかも私の主張であるかのように記述した部分がありました。こういった発言の捏造は明らかに物書きとしてのルール違反ですし、私としても大変迷惑していますので、厳重に抗議しておきたいと思います。以下は、『Voice』編集部に送った抗議メールの内容です。

 はじめまして、神戸大学大学院経済学研究科の梶谷と申します。

貴誌3月号の特集「中国経済をどうみるか」に一文を寄稿しております。拙稿掲載にあたりましては大変お世話になりました。

 さて、今回ご連絡いたしましたのは貴誌の2015年12月号に掲載されたケント・ギルバート氏の「チベット人虐殺こそ世界記憶遺産に」という一文についてです。この記事の69ページに「神戸大学の梶谷懐先生によると、PRCはヨーロッパにおいても反日工作をかなり強めているそうですが、欧米諸国は、「PRCはなぜそこまで日本に絡む必要があるのか?」という疑問しか持っていません」という記述があります。

 しかし、私はこれまでに「PRC(中華人民共和国)はヨーロッパにおいても反日工作をかなり強めている」というような発言を行ったことは一切ありませんし、そのような文章も書いたこともありません。それどころか、「中国のヨーロッパにおける反日工作」なるものについていかなる発言を行ったこともありません。にもかかわらず、貴誌のような広く読者を獲得しているメディアにおいて、上記のように私が実際には言っていないことをあたかも実際に発言・主張しているかのように書かれることは心外ですし、私の社会的信用にもかかわることだと思っています。実際に当該記事はウェブサイトIRONNAにも転載され、広く読まれているようです。

 つきましては、速やかに著者のケント・ギルバート氏に上記の記述の根拠についてご確認された上で、根拠を示すことができなかった場合は誌上において記事の訂正をされるとともに、ウェブでの記事の掲載を許可しないよう強く要求いたします。

 以上の点につきまして善処されますよう、よろしくお願いいたします。

 とりあえず、編集部からの回答を待ちたいと思います。

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