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 一昨年11~12月に川崎市の老人ホームで、高齢の男女3人が相次いで転落死した事件で、神奈川県警は15日、このうち男性1人をベランダから転落死させたとして、元職員で無職の今井隼人容疑者(23)=横浜市神奈川区立町=を殺人の容疑で逮捕し、発表した。容疑を認めているという。

 県警によると、今井容疑者は2014年11月3日午後11時ごろから4日午前1時50分ごろにかけ、川崎市幸区幸町2丁目の老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で、入所者の男性(当時87)を4階ベランダから投げ落として、殺害した疑いがある。男性は胸を強く打ち、内臓破裂で死亡した。

 川崎市消防などによると、14年11月にこの男性が転落した以外にも、12月上旬には女性(当時86)が4階から、同月下旬には女性(当時96)が6階からそれぞれ転落していた。いずれも午前1時50分から同4時17分までの未明の時間帯に119番通報があり、消防が市内の病院に救急搬送したが、死亡が確認された。

 3人が転落した施設のベランダの手すりの高さは、約120センチだった。3人はいずれも個室で暮らし、室内などから遺書は見つかっていなかった。認知症の人も含まれていたという。未明の時間帯には当直勤務の職員を原則として3人置き、職員は施設内を見回り、入所者の介助などをしていた。

 事件後に発表した施設の報告書によると、転落は「県警の現場検証の結果、転落による事故」とされていたが、いずれも今井容疑者の勤務中に発生していたことなどから、県警は経緯に不審な点がないか調べていた。