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拉致被害者家族から戦略練り直しの声強まるか
2月13日 7時17分

拉致被害者家族から戦略練り直しの声強まるか
日本政府が、北朝鮮による事実上の長距離弾道ミサイルの発射を受けて、独自の制裁措置を決定したことに対し、北朝鮮は12日夜、拉致被害者を含む日本人の行方不明者の調査を12日から全面的に中止し、調査を行う「特別調査委員会」を解体すると発表しました。今回の北朝鮮の発表を受け、肉親の帰国を待ち続ける拉致被害者の家族からは、政府に戦略の練り直しを求める声が強まるものとみられます。
おととし、北朝鮮が拉致被害者などの再調査を約束した日朝の政府間合意が結ばれて以降、拉致被害者の家族会は、北朝鮮の指導部が「死亡」や「入国していない」というこれまでの説明を覆し、被害者を帰す決断をするのか、見守ってきました。
しかし、一向に進展しない状況に、「生存者の存在が隠されたまま幕引きが図られるのではないか」という警戒感が強まり、家族の間からは、おととしの合意にこだわらない新しい枠組みでの交渉を求める声も出ていました。さらに、ことしに入ってからの核実験と事実上の弾道ミサイルの発射が、家族の失望感に拍車をかけ、先日行われた政府との面会では、独自制裁の実施に理解を示すとともに、拉致問題も理由に明記してほしいと踏み込みました。
ただ、拉致から30年以上が経過し、家族の高齢化は一段と進み、有本恵子さんの母親の嘉代子さんが、先月90歳になったほか、横田めぐみさんの母親の早紀江さんも今月4日に80歳を迎えました。今回、拉致問題の先行きがさらに見通せなくなったことで、家族からは、被害者の帰国を前提とした北朝鮮との実質的な交渉に向け、政府に戦略の練り直しを求める声が強まるとみられます。

核やミサイルに翻弄される拉致問題

拉致問題は、北朝鮮の核とミサイルの問題や、国内外の政治情勢のはざまで翻弄され続けてきました。北朝鮮情勢を巡っては、過去3回の核実験のたびに緊張が高まり、国際社会を舞台に駆け引きが続きましたが、その間、拉致問題で実質的な進展はありませんでした。
2008年に行われた日朝の実務者協議で、北朝鮮は、それまでより権限が与えられた調査委員会を設置して拉致被害者の調査を行うことを約束しましたが、このときは、当時の福田総理大臣の辞任表明のあと、次の政権の出方を見極めたいとして、調査の先送りを伝えてきました。
2012年に北朝鮮が事実上のミサイルの発射を予告した際には、国際社会と歩調を合わせる必要などから、当時の野田政権が、予定されていた日朝の政府間協議の開催を延期する対応をとり、ミサイルの問題を前に、拉致問題は行き詰まりを見せました。
今回も、北朝鮮による4回目の核実験と事実上の弾道ミサイルの発射をきっかけに、日本政府が独自の制裁措置を決めたことを受けて、北朝鮮は拉致被害者を含む日本人行方不明者の調査の全面的な中止を発表しました。

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