ゲーム機バキバキバイオリニストが汎用機で殴打されないことを祈る

美人バイオリニストとして有名な高嶋ちさ子さんの育児コラムが話題です。自由な教育が主流のイギリスからみたスパルタ教育についてMay_Romaさんが語ります。

美人バイオリニストとして有名な高嶋ちさ子さんが新聞に掲載した育児コラムが大炎上しています。

子供『どうせ僕は豚なんでしょ』『発表会で間違えたら殺すんでしょ』 虐待レベルのヒステリー持ち、高嶋ちさ子にとってDSを折る事は反射的行動。

この事件を簡単にまとめると、高嶋ちさ子さんの長男が、約束以外の時間にDSをやっていたので、お仕置きのためにDSをバキバキに破壊し、ついでにチェロの練習をサボった弟の分も目の前で破壊したところ、子どもたちが悲鳴を上げたとのことです。

DS を破壊されて反省したお子さんは翌週算数のテストで満点を取り、同級生の母親たちからは「子供には本気を見せないとだめなんですね」というメールが来たということが書かれています。

高嶋ちさ子さんのTwitterをみると、子供の日記や宿題をビリビリに破り捨てた、子供に家出すると言ったという、星一徹のような生活が書かれています。

ちさ子さんの育児コラムが大新聞に掲載されたのもドン引きですが、DS破壊を少なからず賞賛している親がいることにちょっとした恐怖を覚えました。

確かに子供に厳しくすることは、子供の才能を最大限伸ばしてやりたいという親心であり、愛情の裏返しだというのはわからんでもありません。

英語圏ではイェール大学法科大学院教授で中国系移民の二世であるエイミー・チュア教授が2011年に出版したタイガーマザーという書籍が大きな話題になりました。チュア教授は子供に遊びを禁止し、楽器の練習や勉強を徹底的にやらせるというスパルタ教育をやり、娘さん達は学業でも音楽でも大成功します。

先進国では子供の良い所をほめて、好きなことを選択させる、詰め込み教育はしない、自尊心を尊重するために一方的な否定はしない、というのが育児の主流になっています。要するに褒めて伸ばすという方式なのですが、チュア教授の手法はその正反対です。

しかし褒めて伸ばす方式のアメリカやイギリスの白人の子供は、学業や芸術で中国系に劣ることがよく知られています。権威のある大学の教授が、自分の娘達を、正反対の方法で教育して大成功したことで、スパルタ式にも意味があるんじゃないか、いや、スパルタ式には問題がある、という議論が起こります。

確かに子供を有名校に入れたり、スポーツや音楽で成功させたい場合、親が厳しく指導せざる得ない場合もあるわけですが、厳しく鍛錬することが、どの子供にとっても良いかどうかというのは、数十年たってからわかる、取り返しがつかないことになる、誰にも向くわけではない、というのは心に留めておいた方が良い気がします。

カルフォルニア大学の心理学の学者が589人の中国人の子どもと親を調査したところ、親が厳しい子供は、うつ病にかかりやすく、自己イメージに大きな問題を抱える傾向があるという調査結果が出ています。

親が厳しく教育すれば結果がでる子供がいる一方、常に自分を否定され、もっとできる、完璧ではないとなじられるために、自分自身を肯定することができません。成長してからいくら仕事をしても達成感が感じられなかったり、自分に自信を持つことができないので、精神的な問題を抱えます。

カルフォルニア大学で実施された別の調査では、ロサンゼルスに住む5,000人以上の中国系、ベトナム系、メキシコ系の移民二世に対する調査を行なったところ、中国系の移民は他の人種グループよりも教育レベルが高いが、一方で、学業が思わしくないと中国系コミュニティの中で孤独を感じ、孤立してしまう、という結果がでています。

高学歴や移民の親の間では、高学歴、多くの資産を持つという「狭い指標」が成功の定義になってしまうため、そこからこぼれ落ちる子供は、自己否定するばかりか、自分の民族的コミュニティから孤立し、自分の人種的背景や文化すら否定します。

成功に関して「狭い指標」を重視する中国系の親達にとって、芸術や自分が好きなことで生計を立てることは「成功」の定義にはいらないので、芸術家を目指す子どもや、職人の様な仕事は否定されます。

家族であっても自分は自分、人は人です。精子と卵子が受精した瞬間からそれは別の生命体であり、好きなものも、向くものも、勤勉さもすべてが違います。

何が楽しいか、何が幸せかはその人によりけりで、ヒップホップが好きな人間にメタルを聴かせてもそれは拷問でしかないわけで、誰もが有名校に入ってテレビに出て金を稼げば心が満たされるかというと、そういうわけでもありません。

そもそも人間の欲求というのは思った以上にシンプルで、腹が満たされて、好きな人に囲まれ、好きなことができれば、それでもう幸せ、だったりするのですが、いざ、自分の体が動かない、あと数年しか生きられませんとなって、そういうことに気がついたりするわけです。

私個人としては、デイサービスや老人ホームや救命救急センターで、体が動かなくなったり、家族の判別すら困難になったような老人たちが「好きなことをしたかった」とつぶやく姿をみているので、中国系の親達のスパルタ方式には、人生の短さや儚さを考えると、だから何だという感想しかありません。

音楽そのものよりもエキセントリックなキャラが売りのちさ子さんがバイオリンも引ける鬼親としての活躍も視野に入れているのかどうかはわかりませんが、成長した息子さんたちに汎用機で殴打されないことを祈念いたします。

ところで以下はイギリスのNSPCCという児童虐待防止団体による子供の心理的虐待の定義です。

Emotional abuse Signs, symptoms and effects

Emotional abuse is the ongoing emotional maltreatment or emotional neglect of a child. It’s sometimes called psychological abuse and can seriously damage a child’s emotional health and development.Emotional abuse can involve deliberately trying to scare or humiliate a child or isolating or ignoring them.

Children who are emotionally abused are usually suffering another type of abuse or neglect at the same time – but this isn’t always the case.

感情的な虐待は、児童を感情的に不適切に扱うこと、感情的な無視のことを指します。これは心理的な虐待と呼ばれることもあり、児童の心の健康や発展を深刻に阻害することがあります。

感情的な虐待には児童に意図的に恐怖心を与えたり、バカにすること、孤独にすること、無視することを含みます。

感情的に虐待されている児童は、それ以外の虐待や無視を受けていることもありますが、常にそうだとは限りません。

ケイクス

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コメント

yasurin011 躾は親としての役目だけど、子供自信の問題と親の体裁を混同したらまずいよね。 32分前 replyretweetfavorite

dekaihiroshi 両方に共通するのは『親の関与』という事。個人的には、提示するまでが親の務めじゃないかな?と思ったり。仕事でやるだろ?顧客にA案B案のメリデメ見せて選択させる、とか。 https://t.co/i7e5eWD95Z https://t.co/sUbGsVcOFu 約1時間前 replyretweetfavorite

Yukiyo タイガーマザー、いるよね… https://t.co/FEI8mCHJXu 約1時間前 replyretweetfavorite

hori_kawa 子供の躾は厳しくしないと。将来、泣くのは子供ですから。 約2時間前 replyretweetfavorite