こんなことも聞いた。「部品価格を下げようとすれば納品価格を値切りすぎだと非難される。他メーカーの部品を使おうとすれば韓国中小企業を殺すつもりだと非難される。善悪の観点に追い詰めれば答えがなくなる。私たちの生態系全体が没落せざるを得ない」。そんな未来に直面している生態系は、スマホだけではないはずだ。
ソフトバンクグループの孫正義社長は、日本経済新聞の10日付インタビューでこんなことを言った。「日本の競争力低下とともにソフトバンクの競争力が下がってはならない」。国が衰退するからと企業が一緒に衰退してはならないということだ。「孫正義らしい」と感じたのは、日本政府に何かを要求する部分が見当たらなかった点だ。企業は日本に依存せず、自ら海外で生き延びる道を探すべきだという主張がそこにはあった。聞きようによっては恐ろしい。彼は会社が国を捨てることができると考えているようだ。実際に、持続的な成長を目指す多くのグローバル企業が行く手を遮る母国を捨てている。
韓国の企業家らはそんな風にできないのだろうか。数兆ウォン(1兆ウォン=約990億円)の利益を出しても数年後を心配し、数千人の働き手を追い出すのが韓国大企業だ。その大企業は今、生き延びる道を思い悩んでいることだろう。経済活性化法案の成立を求める署名を行い、表向きだけでも国に何かを要求していることを幸いと考えるべきだ。
韓国経済は妙に絡み合っている。未来の産業は私たちがまだ準備できていない分野に進化しつつある。これまで準備し、誇ってきた分野は中国に持っていかれている。私たちは今、産業技術の進歩と産業権力の移動が縦横に行き交う接点にいるようだ。そんな国の立ち位置を考えると、改革のレベルを10倍にしても足らないのではないか。ふさわしいレベルの改革が今の政治の現実にとってとてつもない夢だとすれば、韓国の新たな飛躍もまた空しい夢にすぎないだろう。