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福島の子ども「数十倍」…放射線の影響否定的

 東京電力福島第1原発事故後、福島県が当時18歳以下の子どもらを対象に実施している県民健康調査で、県の検討委員会は15日、甲状腺がんと確定した子どもが100人を超え、全国の甲状腺がんの罹患(りかん)率(がんと診断される人の割合)に基づいた推計を大幅に上回ることから、「数十倍多い甲状腺がんが発見されている」との中間まとめの最終案を大筋で了承した。放射線の影響については「考えにくい」と評価しながらも、「完全に否定できない」としている。

健康調査で100人超

 検討委は疫学やがんの専門医ら有識者で構成。2011年10月から今年4月末まで対象者約37万人のうち約30万人が受診した1巡目の検査結果を基に最終案をまとめた。1巡目では100人ががんと確定し、15人が「がんの疑い」とされた。

 全国の患者の推計に基づくと、福島県の18歳以下の甲状腺がんの人数は2人程度とされる。最終案では「将来的に診断されたり、死に結びつかないがんを多数診断している可能性がある」と明記。検討委の星北斗座長は会議後の記者会見で、「一斉検診したことで数として多く見つかった」と述べた。

 放射線の影響を考えにくいと評価した理由について、最終案は、チェルノブイリ事故に比べて被ばく線量が少ない▽当時5歳以下からの発見がない▽地域別の発見率に大きな差がない−−などを挙げた。ただ、放射線の影響の可能性は小さいとはいえ完全には否定できず、将来発症しないがんを見つけて不安を患者に与えるリスクも受診者に説明した上で、検査を継続して実施すべきだとした。最終案は3月中に正式にとりまとめる方針。

 14年4月から始まった2巡目の検査では、昨年末現在で1巡目で「がん」や「がんの疑い」と診断されなかった16人ががんと確定。35人ががんの疑いがあるという。【岡田英】

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