【コラム】VW排ガス不正に怒りを示さない韓国の消費者

 ところが韓国におけるフォルクスワーゲンの対応は正反対だった。問題が発覚した直後の昨年10月、フォルクスワーゲンのディーゼル車の販売は一時的に9%ほど減少したが、11月には逆に1年前に比べて59%増と大幅な伸びを示した。12月になっても18%増と引き続き販売は伸び、昨年全体で見ると逆に17%のプラスだった。60カ月間金利ゼロという破格の販売攻勢も大きく影響したようだ。

 しかしこのような販売方式は韓国だけで行われたものではない。フォルクスワーゲンは100兆ウォン(約10兆円)と見込まれる訴訟のための費用を確保するため、世界中にある在庫を吐き出すよう特別な指示を下した。それでも昨年、日本では19%、中国でも37%のマイナスを記録した。「フォルクスワーゲンのデータ偽造よりも衝撃的なことは、韓国における販売の急激な伸び」と言われるのも当然のことだ。市場における消費者の判断はもちろん尊重すべきだが、それでも後味が非常に悪いのは事実だ。

 このような状況が影響してか、フォルクスワーゲンは韓国市場ではリコールの計画さえ発表してこなかったが、つい最近になってやっと環境部(省に相当)から刑事告発された。輸入車業界の関係者は「フォルクスワーゲンは世界でほぼ唯一、韓国市場に限って飛ぶように売れている。これでは本社としてもリコールや補償を急ぐ理由などないだろう」と語る。うそに断固たる対応を取らない社会は、いつかその代償を支払うことになる。平気でうそをつく政治家に審判を下さないため、政治の世界でいつもありとあらゆる虚偽やデマに苦しむ韓国社会の現状がまさにこれだ。

産業1部=李仁烈(イ・インヨル)次長
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