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【社説】

民主党大会 政策にさらなる磨きを

 民主党にとって夏の参院選は、政権奪還の足場づくりができるのか否かの正念場である。国民の信頼を再び取り戻すには、実現を目指す政策に磨きをかけ、国民に地道に訴えていくしかあるまい。

 「民主党は嫌いだけど、民主主義は守りたい」。夏の参院選向けポスターの文言が、党の苦しい立ち位置を象徴しているようだ。

 民主党はきのう都内で定期大会を開き、岡田克也代表があいさつで、参院選について「安倍政治の暴走を止め、政権交代への大きな足掛かりにしなければならない」と訴えた。

 民主党を取り巻く環境は依然厳しい。政権交代を許した二〇一二年の衆院選を含め、国政選挙で三連敗し、今や安倍晋三首相の「一強」といわれる政治状況である。

 政権担当時の「失政」の記憶は依然、国民に深く刻まれ、昨年十二月の共同通信世論調査では民主党の支持率は10%に満たない。

 安倍政権は昨年九月、憲法違反とも指摘される安全保障関連法の成立を強行し、若者や女性を含めて幅広い層が反対デモに参加したが、民主党は自らの政党支持に取り込めていないのが実態だろう。

 安倍政権は衆院に加えて、夏の参院選でも「改憲派」で三分の二以上の議席を得て、憲法改正を発議したい考えのようだ。国民が憲法を通じて権力を律する「立憲主義」を蔑(ないがし)ろにする現政権下での改正は危ういと言わざるを得ない。

 安倍政権は最近でこそ、再分配政策を口にし始めたが、企業寄りとされるこれまでの経済政策が格差拡大の一因となったことは否定できまい。甘利明前経済再生担当相の金銭授受問題は、自民党の古い「口利き」体質が改まっていないことも明るみに出した。

 自民党との対立軸は多い。自民党政治とは違う政策、政権の選択肢を示す責任が民主党にはある。

 国民の声に耳を傾け、党内で議論を尽くし、政策としてまとめなければならない。磨き上げられた政策だけが、国民をひきつけ、信頼を得ることができる。

 民主党は維新の党と衆院で統一会派を結成するなど、参院選に向けて野党勢力の結集を目指している。岡田氏は党大会で新党結成も選択肢だと明言した。

 しかし、選挙目当ての新党がどれだけつくられ、消えていったことか。大事なことは理念・政策であり、それを実現する不退転の決意だ。議員個人の生き残りが主眼なら、新党を結成しても有権者に見透かされるのが落ちである。

 

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