Updated: Tokyo  2016/02/15 14:06  |  New York  2016/02/15 00:06  |  London  2016/02/15 05:06
 

10-12月GDP1.4%減、消費低迷で予想超悪化-緩和期待を補強 (2)

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    (ブルームバーグ):昨年10-12月期の実質国内総生産(GDP、速報値)は前期比年率で1.4%減と、2期ぶりのマイナス成長となった。 個人消費が大きく落ち込んで、事前の予想を下回った。

内閣府が15日発表したGDP速報は物価変動の影響を除いた実質で前期比0.4%減だった。項目別で全体の約6割を占める個人消費が0.8%減となり、設備投資は1.4%増だった。公共投資は2.7%減。GDP全体への寄与度は内需がマイナス0.5ポイント、外需はプラス0.1ポイント。ブルームバーグの事前調査は年率換算で0.8%減、前期比0.2%減だった。

マイナス成長はアベノミクスが始まって以来5回目。日本銀行は1月29日の金融政策決定会合で日本初のマイナス金利導入で決定したが、サプライズ効果は金融市場で長続きせずに早くも次の緩和観測が浮上している。夏予定の参院選を前に10-12月期のマイナス成長は追加緩和を含む新たな景気対策を求める声を後押しする。

SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは個人消費、住宅投資、公共投資を始めとする内需と輸出が悪化したとして、10-12月期GDPは「ポジティブな評価はできない。景気は10-12月期から調整局面に入った可能性がある」とリポートに記した。「日銀は3月15日の金融政策決定会合ではさらなる付利引き下げと量的・質的緩和の追加を決断する可能性がある」と予想した。

個人消費について石原伸晃経済再生相は「記録的な暖冬から冬物衣料などが落ち込んだ」と記者会見で述べた。金融市場の変動がみられるが、日本経済のファンダメンタルズは良好で変化している材料はないとして「今後は景気は緩やかな回復に向かうと見込まれる」とも語った。7-9月期実質GDP成長率は年率換算1.3%増、前期比0.3%増と2次速報(それぞれ1.0%増、0.3%増)から改定された。

下振れリスクが大きい

クレディアグリコル証券の尾形和彦チーフエコノミストは、10-12月期GDPは消費が予想より下振れ、設備投資はプラスだが不透明感が強いと指摘した。その上で日本銀行の金融政策について「メインシナリオは6月の追加緩和を維持するが、3月もしくは4月の追加緩和の可能性も排除できないと思っている」と述べた。3月に緩和があるとすれば、量の拡大になると考えているとしている。

日銀の黒田東彦総裁は3日の講演で、「2%の物価目標の実現のために、できることは何でもやる」と言明。「必要な場合、さらに金利の引き下げを行う」と語った。日銀は1月29日の経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、2015年度の実質GDPの見通し(政策委員中央値)を10月の1.2%増から1.1%増に下方修正、16年度は1.4%増から1.5%増に上方修正。こうした見通しは「海外経済の動向を中心に下振れリスクが大きい」としている。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先: Brett Miller bmiller30@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net 上野英治郎、広川高史、谷合謙三

更新日時: 2016/02/15 10:38 JST

 
 
 
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