大阪市が職員に回答を義務付けた組合活動に関する記名式のアンケート調査を巡り、職員組合5団体と職員約30人が市と元市特別顧問の野村修也弁護士に計約1400万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(中村哲裁判長)は16日、市に計79万5千円の支払いを命じた。野村弁護士にも支払いを命じた一審・大阪地裁判決を変更、賠償額も倍増した。
中村裁判長はアンケートの22項目の設問のうち、「特定の政治家を応援する活動に参加したか」など2項目について「地方公務員法などに抵触しない範囲で自由になし得る政治行為を萎縮させる」として、政治活動の自由の侵害も認定、賠償額を増額した。
一審判決が賠償責任を認めた野村弁護士については「市の委嘱を受けてアンケートを作成・実施した公務員というべきで個人として損害賠償責任を負わない」とした。
今年1月の一審判決でアンケートの22項目のうち、組合活動への参加の有無などを尋ねる5項目は憲法上のプライバシー権や団結権を侵害し違法とした判断は支持した。
判決などによると、アンケートは勤務時間中の組合活動などを問題視した橋下徹市長の要請で、当時市特別顧問だった野村弁護士らの第三者調査チームが2012年2月に実施。回答は職務命令で、虚偽の回答は処分対象になり得るとの市長メッセージも出した。
市は「主張が認められず遺憾。判決の詳細を精査したうえで、対応を検討したい」とのコメントを出した。
橋下徹