■非関税障壁に撤廃必要
ベトナムへの韓国企業の投資は拡大一途だ。1988年から昨年までのベトナムに対する累計直接投資(FDI)は、韓国(453億ドル)が日本(391億ドル)を抑えトップだ。ベトナムに新規投資を行う韓国企業も2011年の199社から2014年には460社へと2倍以上に増えた。昨年は1-9月だけで393社に達した。
韓国の対ベトナム輸出は当面増える見通しだ。ベトナムは世界最大の単一貿易・投資経済圏となる環太平洋経済連携協定(TPP)と東南アジア10カ国を単一市場とするASEAN経済共同体(AEC)にいずれも参加している。さらに、昨年12月末には韓国とベトナムによる自由貿易協定(FTA)も発効し、韓国企業にとっては、世界進出の足がかりとしてのベトナムの戦略的価値はさらに高まっている。
韓国貿易協会のキム・ジョンス常務は「TPPが来年にも発効すれば、韓国企業がベトナムで生産した繊維、衣類は対米輸出時に関税が撤廃され、中国製よりも価格競争力が高まる。繊維・衣類などTPPで恩恵を受ける業種の韓国企業によるベトナム進出がさらに加速しそうだ」と述べた。
しかし、ベトナムでのビジネスがバラ色一色とは言えない。西江大国際大学院の許允(ホ・ユン)院長は「ベトナムは外国企業の土地保有を制限しているほか、知的財産権保護の不十分、通関手続きの一貫性欠如など韓国企業に不利な非関税障壁を維持している。韓国政府がそうした障害の解決に積極的に努力すれば、輸出にさらに弾みが付く」と指摘した。