日本経済新聞社とテレビ大阪が27~29日、大阪市内の有権者を対象に実施した世論調査で、大阪市を5つの特別区に分割する「大阪都構想」について、賛成は41%、反対は39%と拮抗した。都構想の是非を問う住民投票(5月17日投開票)に「必ず行く」「なるべく行く」とした人は計97%に達し、大阪の将来を決める投票への関心が極めて高いことが示された。
都構想への賛否について「どちらともいえない」と「いえない・わからない」を合わせると20%となる。大阪市内では賛否両派が激しい運動を展開しており、結果には流動的な要素がある。
都構想は、大阪市を廃止して新設する5特別区が身近な住民サービスに特化するとともに、広域行政機能を大阪府に集約する内容。住民投票の結果は投票率に関係なく法的拘束力を持ち、賛成が反対を上回れば2017年4月1日に移行する。
賛否の理由を1つだけ尋ねたところ、賛成理由で最も多かったのは「思い切った改革が必要だから」の48%。「(府市の)二重行政が解消されるから」が32%で続いた。
反対理由では「多くの費用がかかるから」が27%で最多。「大阪市がなくなり、元に戻せないから」が24%で続いた。
賛否を支持政党別にみると、都構想を推進する橋下徹市長が最高顧問を務める維新の党の支持層は賛成が反対を大幅に上回った。
都構想に反対している各党の支持層では、自民党支持層は反対が多数だが、賛成も2割程度に上った。昨年末に住民投票の実施容認に転じた公明党支持層は反対が多数。民主、共産両党の支持層でも反対が賛成を大きく上回った。「支持政党なし」の無党派層は反対が4割程度で、賛成は2割程度だった。
投票意欲が低い層ほど賛否の態度を決めかねている傾向があり、投票率も結果に影響を及ぼしそうだ。
調査は日経リサーチが大阪市内の成人男女を対象に乱数番号(RDD)方式で電話で実施。有権者のいる477世帯から315件の回答を得た。回答率は66%だった。
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