市場に負けない介入が可能なはずなのだが…
こうした状況において、筆者としてまったく解せないのは、為替で投機的な仕掛けをかけられているにもかかわらず、為替当局が大規模な為替介入を行っていないことだ。
18年間も発生していないくらいの大規模な、しかも理論上と逆方向の為替の動きであれば、為替介入するのが当たり前だ。
しかも、円高に向かうなかで、為替当局としては、為券(国債)を発行してドル債を購入すればいいので、青天井で実施できる。普通に考えれば、市場に負けない介入が可能なはずである。
逆にいえば、ここ2週間、為替当局はボケーと市場を注視していただけということで、まったく情けない限りだ。ちょっと表現がきついかもしれないが、まったく無能な為替当局である。そうした無能な通貨当局だったので、ヘッジファンドも安心して仕掛けることができたともいえる。
この時点で、為替介入は為替の観点からだけでなく、国債の品不足を補うという観点でも正当化できる。ただですら、国債の品不足になっているのだから、介入資金調達のために国債を発行することは、恵みの雨ともいえるのである。
またこのとき、日銀は発行された国債を購入することで、さらに量的緩和を補強することができる(いわゆる非不胎化unsterilized)。
実際のところ、為替介入には直接的な効果はないといわれているが、非不胎化であれば、円安効果が実際にある。かつて小泉政権下では「溝口介入」といわれる介入が行われた。投機筋に狙われ03年末から急速に円高が進んだ際、04年初頭から為替当局が1日1兆円といわれる介入に乗り出した。
このとき、発行した為券の半額を日銀が購入して非不胎化したので、円安になった経緯もある(この溝口介入の舞台裏については、拙著『日本経済のウソ』ちくま新書、を参照されたい)。
為替介入+日銀為券購入という手は、国会開催中でも行える政策である。一部のヘッジファンドに仕掛けられたのだから、その「倍返し」が必要だろう。この種の対策は、緊急を要するので、速攻で行うべきだ。
-
はじめての「マイナス金利」 〜預金・年金・住宅ローン…今あなたがすべきこと(2016.02.15)
-
円高・株安は断じて「アベノミクスの限界」ではない!~中国の大不況が原因なのに、政権批判に転じるマスコミは破綻している(2016.02.12)
-
株価大暴落! 日銀「マイナス金利」導入は裏目に出たのか?(2016.02.11)
-
年金マネー「運用」の真実 〜どう考えてもGPIFの株式投資は無意味である!(2016.02.14)
-
習近平、ついに悲願達成! 人民解放軍を「自分の軍隊」に改造、その全貌を明かす(2016.02.15)
- この円高はやっぱり異常! ヘッジファンドを黙らせる「速攻の一手」を提示しよう (2016.02.15)
- 国際社会はいま、北朝鮮をどう見ているか〜度重なる暴挙、リアルな危険はすぐそこにある(2016.02.08)
- よくやった! 日銀「マイナス金利導入」は歓迎すべき大きな一手だ(2016.02.01)
- 甘利大臣が口利きしたURは「役人のパラダイス」! 国交省はこんなウソで民営化を避けてきた(2016.01.25)
- スキーバス転落事故はどうすれば防げたのか?~「小泉時代の規制緩和が原因」説を検証する(2016.01.18)
- 民主党は「ブラック政党」を目指しているのか?~国会論争を聞いていると、ブラック企業と発想が似ているので驚いた(2016.01.11)
