この円高はやっぱり異常! ヘッジファンドを黙らせる「速攻の一手」を提示しよう

2016年02月15日(月) 高橋 洋一
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市場に負けない介入が可能なはずなのだが…

こうした状況において、筆者としてまったく解せないのは、為替で投機的な仕掛けをかけられているにもかかわらず、為替当局が大規模な為替介入を行っていないことだ。

18年間も発生していないくらいの大規模な、しかも理論上と逆方向の為替の動きであれば、為替介入するのが当たり前だ。

しかも、円高に向かうなかで、為替当局としては、為券(国債)を発行してドル債を購入すればいいので、青天井で実施できる。普通に考えれば、市場に負けない介入が可能なはずである。

逆にいえば、ここ2週間、為替当局はボケーと市場を注視していただけということで、まったく情けない限りだ。ちょっと表現がきついかもしれないが、まったく無能な為替当局である。そうした無能な通貨当局だったので、ヘッジファンドも安心して仕掛けることができたともいえる。

この時点で、為替介入は為替の観点からだけでなく、国債の品不足を補うという観点でも正当化できる。ただですら、国債の品不足になっているのだから、介入資金調達のために国債を発行することは、恵みの雨ともいえるのである。

またこのとき、日銀は発行された国債を購入することで、さらに量的緩和を補強することができる(いわゆる非不胎化unsterilized)。

実際のところ、為替介入には直接的な効果はないといわれているが、非不胎化であれば、円安効果が実際にある。かつて小泉政権下では「溝口介入」といわれる介入が行われた。投機筋に狙われ03年末から急速に円高が進んだ際、04年初頭から為替当局が1日1兆円といわれる介入に乗り出した。

このとき、発行した為券の半額を日銀が購入して非不胎化したので、円安になった経緯もある(この溝口介入の舞台裏については、拙著『日本経済のウソ』ちくま新書、を参照されたい)。

為替介入+日銀為券購入という手は、国会開催中でも行える政策である。一部のヘッジファンドに仕掛けられたのだから、その「倍返し」が必要だろう。この種の対策は、緊急を要するので、速攻で行うべきだ。

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