このような傾向は、実はこれまで7年続いたオバマ政権の外交政策からもうかがい知ることができる。かつて米国は国際紛争が起こると「正義の使徒」を自認し、自ら先頭に立って解決に当たってきた。ところがオバマ政権になると、米国はそのための費用や責任について、関係する国にも分担や負担を求めるようになった。最近のシリア、リビア、ウクライナ、イランなどの問題はもちろん、北朝鮮の核問題も例外ではなかった。「米国は世界に自由と民主主義を広める使命を持つ特別な国」という「米国例外主義」の誇りは、いつしか歴史のかなたに消え去ってしまったのだ。
このような米国の変化は、今後誰が大統領になっても間違いなくその政策に反映されるだろう。これはすなわち韓国をはじめとする米国の友好国に対し、米国からこれまで以上に多くの請求書が突き付けられることを意味する。この請求書は武器の購入、貿易の拡大、国際的な援助への参加要請など、さまざまな形で表れてくるだろう。
韓国がその国力に見合った待遇を受け、韓米関係で対等な立場で自らの意見を主張するには、この種の請求書はある程度甘受するしかない。納品の単価が引き上げられたことを理由に、安全保障の主要な取引先を中国に乗り換えることのできる状況にはないからだ。
だとすれば韓国政府はこのような現状を国民に説明し、どの請求書なら受け入れ可能か、世論の動向をにらみながらあらかじめ検討しておかねばならない。このことを怠り「韓米関係にはわずかの隙もない」などの美辞麗句で国民に幻想ばかりを抱かせていると、いつか米国から請求書が突き付けられた時に、国全体が激しく分裂するかもしれない。