報告書は予測(predict)するだけだが、人間は創造(create)することができる。ジャッフェ氏が見過ごしていたのは朴泰俊氏だけだったのだろうか。四面楚歌に陥った韓国政府、朴泰俊氏、ポスコの社員、いずれもジャッフェ氏が見過ごしていたものだ。危機の中で火が付いた意志と使命感が、現在のポスコをつくり上げたのだ。
新年早々、韓国経済は全てにおいて「危機」という言葉に支配されたムードで、各企業は縮小経営一辺倒だ。しかし韓国経済と企業の成長の主な動力源は、他国より立ち遅れた劣悪な環境下で発揮された創造性と潜在力だった。守勢に回らず、攻撃と挑戦によって道を切り開いてきた。
大切なのは挑戦を奨励し、その挑戦が成長に結び付く環境を作ることだ。経営者らは創業者世代の企業家たちの挑戦をきちんと受け継いでいるのか、自らに問い掛けてみるべきだ。官僚と政治家はチャレンジ精神あふれる若い創業者に対し、初めから参入障壁を立てて芽を摘み取るようなことをしてはならない。「オンラインで取り引きする自動車競売企業も3300平方メートル以上の駐車場と200平方メートルの競売ルームを整備すべき」と法を改正し、創業1年で業界3位までのし上がったベンチャー企業を廃業させるようなことがあってはならない。チャレンジせずに保身にばかり忙しい旧態企業の手先のようなことはすべきではない。