日本のメディアでは民主党候補はヒラリーばかり注目されてきたので、
日本に住んでいる方は、サンダーズについてあまりご存知ない方が多いかもしれない。
この記事が、サンダーズの善戦についての歴史的意義がよくまとめられていたので、
紹介したい。以下は記事からの引用である。
民主党のバラク・オバマ上院議員(当時)は2008年、大統領選の終盤に自身の税制計画が「富を広げる(spread the wealth around)」ことになるだろうと何気なく示唆した。その後、同氏は社会主義者だとの非難から身を守るために貴重な時間を費やさねばならなかった。
現在、同じ党から同じ職を目指す74歳のバーニー・サンダース上院議員(バーモント州)は誇らしげに自らを民主社会主義者だと名乗り、富を広げるための大がかりな計画を主張している。同氏が要求するのは、米国人の生活における政府の役割を大幅に拡大させ、ウォール街の力と政治におけるカネの役割を大胆にそぎ落とす「政治革命」だ。同氏は、世界大恐慌以降で最悪となった景気後退期に成年に達した有権者からの支持を集めている。彼らは若すぎるために、冷戦の烙印(らくいん)が押された社会主義という思想を気にしていない。
リベラル色が非常に強いために長く民主党に入るのを拒否してきたサンダース氏は、35年前に初当選した当時からずっと自身の見方を変えていない。それでも同氏は現在、広範な党内左派を代表している。
変わったのは民主党のほうで、同党の有権者は共和・民主両党の政権期を通じて左傾化していった。また、共和党と同様に、民主党の有権者もポピュリズム(大衆迎合主義)の波に反応している。
サンダース氏の主張は、近年の大統領選ではどの有力候補者も提案してこなかったほど大きく、政府の役割を拡大させることを意味する。これは多くの民主党員が望む額を超える新規歳出案に支えられている。
特に「社会保障」「大学補助」「ヘルスケア」という3つのテーマを見ると、同氏の考えと民主党で最もリベラルな有権者とがいかに一致しているかが分かる。
社会保障の分野で、サンダース氏は全国民が受ける恩恵を増大しようとしているが、これは数年前にはほとんど議論されなかった立場だ。民主党員の大半が財政的に長期間維持でき、共和党による制度民営化案に対抗できる政策に焦点を当てていたからだ。
大学について、同氏は全ての公立大学で授業料を免除するため、金融取引に課す新税を財源に7500億ドル(約88兆円)を拠出するよう提案している。
ヘルスケアでは民間保険会社でなく政府機関に保障をカバーさせることで、医療保険制度改革法(オバマケア)をはるかに超える政策を目指している。ここでサンダース氏は多くのリベラル派を代弁している。彼らは全国民が保険に加入し、健康保険を国が管理運営する「シングルペイヤー制度」に準じたヘルスケアシステムを長く支持してきたが、ここ数年は本気でそれを推進できていなかったからだ。
これらすべての提案には議会承認が必要となるが、共和党が過半数を占める現状での実現はかなり厳しいと考えられている。
党内左派の拡大はヒラリー・クリントン前国務長官に大打撃を与えてきた。同氏は長年にわたり「超リベラル」のレッテルを貼られていたが、今は進歩主義としての資質を証明し、ウォール街との長い付き合いについて説明する必要がある。クリントン氏は先週行われたアイオワ州党員集会で辛うじて勝利したが、9日のニューハンプシャー州予備選を前にした現在は支持率で後れを取っている。ニューハンプシャー州はサンダース氏の拠点であるバーモント州に隣接する。ただ、全米での支持率はクリントン氏が依然トップを走っている。
クリントン氏の選挙公約はカバー範囲と支出額で劣るものの、同氏はイデオロギーが広く分散する時代においては、自身の提案の方がより効果的ではるかに現実的だと主張している。
サンダース氏の驚くべき成功とクリントン氏の苦戦は、ビル・クリントン元大統領が1990年代初めに民主党を中道に導いて以降、同党がいかに左傾化してきたかを物語っている。
一方の共和党は右傾化してきた。
世論調査が両党の変化を浮き彫りにしている。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とNBCテレビの共同世論調査によると、1990年に自身を「非常にリベラル」だと答えた民主党支持者の割合は全体の13%にすぎず、「非常に保守的」だと答えた共和党支持者は12%だった。ただ、この数字は昨年までに民主党支持者で26%、共和党支持者で29%に上昇した。
長くなったので、後半は次回に掲載します。
読んでくださって、ありがとうございました。
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