実業団「Jエリートツアー」E1に参戦「弱虫ペダル サイクリングチーム」結成 漫画の枠を飛び出しリアルなロードレースへ
自転車ロードレースに挑戦する高校生たちの群像を描いた人気漫画「弱虫ペダル」の作者、渡辺航さんが、作品の名を冠したロードレースチーム「弱虫ペダル サイクリングチーム」を設立。渡辺さんが2月14日、メンバーと共に発表した。選手5人体制で、今シーズンは実業団の2番目のカテゴリーとなるE1に参戦する。渡辺さんは「子供たちに『チームに入りたい』と思ってもらえるような、目標になる走りをしたい。ロードレース界に新しい風を吹き入れることができれば」と抱負を語った。
「シクロクロス東京」表彰式でサプライズ発表
渡辺さんは14日に東京・お台場海浜公園で開かれた「シクロクロス東京2016」の表彰式の場を借りて、サイクリングチームの結成をサプライズ発表。メンバーの前田公平を紹介し、チームウェアも披露した。
さらに同日夕、台場のホテルで開かれたシクロクロス東京のアフターパーティーの席で正式発表し、メンバーらを紹介した。
パーティーの壇上であいさつに立った渡辺さんは、「自転車漫画を読んでいる人たちにとって、ステップアップした先にこういうチームがあるという目標になればと思う」と狙いを語った。
約30レースに出場予定 「記憶に残る活躍を」
参戦するのは国内トップカテゴリーのJプロツアーではなく、その次のカテゴリーとなる「Jエリートツアー」のE1だが、渡辺さんは「E1とかのレースでもドラマは存在する。そこに目を向けてもらって、レースの面白さ見つけてもらいたい」と、ロードレースの魅力をアピールしていく考えだ。
今シーズンは3月20日の「宇都宮クリテリウム」をチームのデビュー戦とし、計30レースほどへの出場を目指すといい、「チームは今年1年で記憶に残るような活躍をしてくれると思う。安全に走りつつ、波にのってきたらタイトルをとれるチームになってほしい」と期待を寄せた。
渡辺さん自身は、前々からロードレースチームの発足を計画していたという。「とにかくロードレースを盛り上げたいと思って、3、4年前には僕自身が実業団登録を考えていた。(2年ほど前から)シクロクロスをやるようになって、やっぱり自転車競技のランドマークともいえるロードレースをやりたいと思っていた」
「弱ペダ」通じて自転車競技の魅力発信
渡辺さんは2008年に弱虫ペダルの連載を開始して以降、漫画やアニメ、映画で作品を広めるだけでなく、さまざまな“リアルイベント”に弱虫ペダルを通じて関与し、自転車競技の魅力を発信してきた。
自転車のレースやショーなどでサイン会やチャリティー販売会を開いてファンと交流してきたほか、2014-15年シーズンと15-16年シーズンには「弱虫ペダル シクロクロスチーム」を主宰してチーム監督に就任。各地のシクロクロス大会を盛り上げてきた。渡辺さん自身がファンと一緒にライドをする企画も開いた。
今回発足した「弱虫ぺダル サイクリングチーム」は、シクロクロスチームを発展させた取り組みだ。
また渡辺さんは、こうした自転車文化発展への多大な貢献が評価され、昨年11月には、NPO法人「自転車活用推進研究会」によって六代目「自転車名人」に選出されている(任期は2年間)。
■「弱虫ペダル ロードレースチーム」メンバー一覧 (敬称略)
監督:渡辺航
ゼネラルマネジャー:佐藤成彦
コーチングプレイヤー:大場政登志
コーチ:唐見実世子
メカニック:日比谷篤史
選手:岡篤志、織田聖、前田公平、西島優太郎、栗栖嵩