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「いもむし」「食パン」 鉄道車両の不思議な名前

乗りものニュース 2015年11月3日(火)10時59分配信

自然発生する“非公式ニックネーム”

 鉄道車両は、安全性や機能性はもちろんですが、デザインも重要。公共の交通機関という性格上、多くの利用者に好印象を与える必要があるからです。また鉄道会社は車両を通じて、自社のポリシーやブランドをアピールすることもできます。

“カモノハシ”700系、東海道新幹線から引退へ 2019年度末

 そこで各社のデザイン担当者は頭を悩ませるわけですが、そうして造られた鉄道車両のうち、これまで鉄道ファンなどから自然発生的に、思いがけない“非公式ニックネーム”を付けられるものもありました。

 例えば、2019年末で東海道新幹線から引退することが発表された700系。先頭部の独特な形状が動物に見立られ、「カモノハシ」と呼ばれます。

 こうした“非公式ニックネーム”が誕生することは、その車両が際立った個性や特徴を持ち、人々に強い印象を残した証ともいえるでしょう。

鉄道車両は動物に見えやすい?

 鉄道車両の“非公式ニックネーム”で最も多いのは、おそらく生き物をイメージしたものではないでしょうか。

 その代表的なものが、1954(昭和29)年に登場した東急の初代5000系電車「青ガエル」。丸みを帯びた愛嬌のある車体形状と、ライトグリーンの塗色から受けるイメージからのニックネームです。

 この「青ガエル」というニックネームは鉄道ファンのみならず、広く一般にも親しまれました。その車両は渋谷駅のハチ公口に保存・展示されているほか、熊本電鉄で1両だけ、いまなお現役で走っています。

 そのほか、動物を連想した“非公式ニックネーム”は「マッコウクジラ」(営団日比谷線3000系)、「いもむし」(名鉄3400系)などがありました。いずれも、その姿を見れば命名理由が説明不要なほど、分かりやすいネーミングです。

最新技術が「弁当箱」呼ばわり

 車両に新技術を導入した結果、それが外観に表れてニックネームにつながった例もあります。

「弁当箱」というニックネームが付けられたのは、東急の初代7000系電車。日本の鉄道で初めての、オールステンレス車両です。現代の弁当箱といえばプラスチック製が多いですが、この車両が登場した1960年代は、弁当箱といえば銀色のアルミ製でした。

 また、改造などで外観が変化し、新たにニックネームが付けられた例も。国鉄の715系・419系電車のうち、一部の車両が「食パン電車」と呼ばれました。

 この車両は、不要となった581系・583系特急形寝台電車の中間車を改造し、運転台を取り付けて先頭車にしたもの。もともと3段式の寝台車で天井が高く、車体の断面が縦長だったため、改造によって独特の、のっぺりした縦長の前面形状が誕生。その姿から「食パン電車」とのニックネームが付けられています。

末吉史樹

最終更新:2015年11月3日(火)10時59分

乗りものニュース