World Energy Watch

トランプ、サンダースよりも警戒される候補者は誰?
ワシントンからの大統領選レポート

山本隆三 (やまもと・りゅうぞう)  常葉大学経営学部教授

住友商事地球環境部長等を経て現職。経済産業省地球温暖化対策技術普及等推進事業審査委員会、東京商工会議所エネルギー・環境委員会委員などを務めている。近著に『電力不足が招く成長の限界』(エネルギーフォーラム)。

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気候変動問題対策はどうなる

 共和党の候補者は、おしなべて気候変動問題に関心がない。選挙民も経済、雇用などとの比較では関心が薄い。世論調査では気候変動は人為的原因で起きたとする有権者が半数を超えてきたものの、共和党支持者に限れば30%程度になる。このため、選挙のテーマとして話題になることもない。共和党の候補者は気候変動を話題にすることもないが、過去の発言からは、候補者により多少の濃淡は浮かび上がる。

 トランプは「気候変動は中国がでっち上げたいかさま」と主張している。クルーズは「政府の研究者が過去のデータから温暖化をでっちあげた。過去18年間の人工衛星のデータを見る限り温暖化は起こっていない」と主張している。ルビオも人為的な原因で温暖化は発生していないとしているが、他の候補者は現実的に考えているようだ。ただ、どの候補者も化石燃料推進の立場と思われ、現在の政権が進めているクリーンパワープラントなどの政策は共和党大統領になれば、反故にされることになるだろう。

 民主党のクリントンはオバマ路線の継承ではっきりしている。サンダースはオバマ路線の強化であり、様々な気候変動対策、排出規制を導入してくるものと予想される。気候変動政策は新大統領次第で大きく変わる可能性がある。

  
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山本隆三(やまもと・りゅうぞう)

常葉大学経営学部教授

住友商事地球環境部長等を経て現職。経済産業省地球温暖化対策技術普及等推進事業審査委員会、東京商工会議所エネルギー・環境委員会委員などを務めている。近著に『電力不足が招く成長の限界』(エネルギーフォーラム)。

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