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【iRONNA発】
「グーグル帝国」に影を落とす? ニフティ法務部長でも迷うネットの“削除請求” 丸橋透氏
株式の時価総額で米グーグル社がアップルを超え、世界首位に躍り出たことが話題になった。69兆円もの企業価値はまさにアメリカンドリームだが、グーグルは今、大きな悩みも抱える。人に知られたくない過去をインターネット上から消し去る「忘れられる権利」だ。ネット時代の新しい人権は「グーグル帝国」にも影を落とす?(iRONNA)
いわゆる「忘れられる権利」は、グーグルに検索結果の削除を命じた欧州司法裁判所判決を契機として注目され、主に検索エンジンに対し、削除請求する局面で語られている。氏名など特定の人物を示す検索語により、検索結果のタイトル、数行の引用表示や検索先ウェブサイトのURLを非表示とすることを請求するものである。
しかし、欧州連合(EU)の個人情報保護法制は検索エンジンに特化して個人データの消去(削除)権を定めているわけではなく、あらゆる個人が一定の場合に自己の個人データの消去を請求する広範な権利を与えている。この消去請求権を強化するものがいわゆる「忘れられる権利」である。
わが国で同様に削除を求める根拠は、犯罪、行政処分、その他の行状に関する報道などが当時は合法だったとしても、時の経過とともに当時の正当性がなくなっており、現時点では人格権を侵害しているというものである。