大阪市を5特別区に分割し、大阪府と再編する「大阪都構想」の住民投票の告示を翌日に控えた26日、市が主催した住民説明会が計39回の全日程を終えた。14日から13日間で来場者は3万2千人を超え、市民の関心の高さが示された。
説明会に欠かさず出席した橋下徹市長(大阪維新の会代表)の言動には、反対派から「賛成に向けた誘導で、公平性を欠く」との批判も出た。告示を受け、5月17日の投開票に向けて賛否両派の運動は一層熱を帯びる。
この日午後、大阪市北区のハービスホールで開かれた説明会には約1千人が詰めかけた。橋下市長は「府庁と市役所という役所の二重行政は府民・市民に大きなマイナスを強いている」と身ぶりを交えて強調。市民からの質疑では「今の市民の税金が新しい府に取られてしまうのでは」と懸念を示す声も出た。
最後の説明会場となった夜の城東区民ホールにも定員を超える640人が訪れた。会場の外では反対派の市民団体が「大阪市の廃止・分割には絶対反対」と訴えてビラを配ると、構想を推進する維新市議らも争うように配布。賛否両派の間で口論になるなど物々しい雰囲気に包まれた。
この日の説明会に参加した阿倍野区の無職、村松せつさん(78)は「協定書(構想案)を読んでも一人では理解できなかった。市長の説明で仕組みがよく分かった」と納得した様子だった。
一方、城東区の男性会社員(54)は「市側の示した試算は粗く、財源がきちんと生まれるか不安だ。もっと中身を議論した上で住民投票にかけるべきだ」と話した。
男性会社員(35)は「どのように大阪が発展していくかビジョンが見えない。反対派の集会にも行ってよく考えたい」とし、熟慮する考えだ。
説明会は全回、定員を超えたが、運営方法は議論も招いた。橋下市長が15日、都構想に賛成が得られれば12月の任期満了に伴う次期市長選に再出馬すると表明したことなどに、自民など野党側から「住民投票を人気投票にしようとしている」と批判が相次いだ。
その後、市側は質疑時間を短縮するなどの対応を取ったが、参加者からは「質疑の時間が短かった」との声も出ていた。
橋下徹