平成27年9月18日
一般事情
1 面積
約10万平方キロメートル(朝鮮半島全体の45%,日本の約4分の1)
2 人口
約5,000万人(2013年現在)
3 首都
ソウル
4 民族
韓民族
5 言語
韓国語
6 宗教
宗教人口比率53.1%
(うち仏教:42.9%,プロテスタント:34.5%,カトリック:20.6%,その他:2.0%)
社会・文化に儒教の影響を色濃く受ける。
7 略史
- 3世紀終わり頃に氏族国家成立
- 三国時代(高句麗,百済,新羅)(4世紀頃~668年)
- 統一新羅(676年~935年)
- 高麗(918年~1392年)
- 朝鮮(1392年~1910年)
- 日本による統治(1910年~1945年)を経て,第二次大戦後,北緯38度以南は米軍支配下に置かれる。
- 1948年大韓民国成立。同年,朝鮮半島北部に北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が成立。
政治体制・内政
1 政体
民主共和国
2 元首
朴槿恵(パク・クネ)大統領
3 議会
一院制 300議席 議長:鄭義和(チョン・ウィファ)
4 主要閣僚
国務総理:黄教安
5 内政
2012年12月19日の大統領選挙により,朴槿恵新政権が誕生した(2013年2月25日から任期5年)。
政党名 | 議席数 |
---|---|
セヌリ党(与党) | 159 |
新政治民主連合 | 129 |
正義党 | 5 |
無所属 | 5 |
空席 | 2 |
計 | 300議席 |
外交・国防
1 外交
- (1)2013年2月25日に就任した朴槿恵大統領は,外交関連の主な国政課題として,「韓米同盟の持続的発展及び関係国との国際協力強化」,「北東アジア平和協力構想とユーラシア協力拡大」,「韓米同盟と韓中パートナーシップの調和発展及び日韓関係の安定化」を発表。
- (2)朴槿恵大統領は,初の外遊先として2013年5月に米国を訪問し,安全保障上の韓米同盟の重要性を確認するとともに,安保のみならず経済を含めた全般的な関係に発展させていくことを確認。また,北朝鮮問題については,北朝鮮が国際社会の義務を遵守し,朝鮮問題の平和と繁栄を促進するために協力していくことで一致。さらに,韓米FTAについては,貿易・投資共に増加していると評価した。また,2014年5月にはオバマ大統領が訪韓し,韓米ジョイントファクトシートを発出。北朝鮮問題に対して米韓両国がしっかり対応するとのコミットメントを共有するとともに,強固な米韓同盟をアピールした。
- (3)朴槿恵大統領は,対中関係の強化にも努め,就任後2番目の訪問先として2013年6月に中国を国賓訪問し,戦略的協力パートナーシップ関係を強化していくことで合意。北朝鮮問題について,六者会合再開のための環境を確保できるよう努力することで一致。また,2014年7月には中国の習近平国家主席が韓国を国賓訪問し,中韓共同声明を発出した。また,2015年9月には中国を訪問し中国の「抗日戦争勝利記念式典」に出席。
2 軍事力(2014年国防部報道資料及び2015年ミリタリーバランス)
- (1)韓国軍
- (ア)予算 37兆4560億ウォン(2015年度)
- (イ)兵役 義務兵役制(21~24ヶ月)
- (ウ)兵力 陸軍52.2万,海軍6.8万,空軍6.5万
- (2014年国防部報道資料及び2015年ミリタリーバランス)
- (2)在韓米軍
- 米国は,1992年以降,約3万7000人の兵力を朝鮮半島に維持してきた。2004年の米韓間の合意により,在韓米軍兵力1万2500人を,2008年までに3段階に分けて削減する予定であったが,2008年4月の米韓首脳会談において,2万8,500人である現在の水準に維持することで合意。
- また,漢江以北に駐留する第2歩兵師団等の在韓米軍を東豆川(トンドゥチョン)と議政府(ウィジョンブ)に集約した後,それらを烏山(オサン)・平沢(ピョンテク)地域と,釜山・大邱(テグ)地域に移転する予定。
南北関係
- (1)2000年6月,金大中(キム・デジュン)大統領(当時)が訪朝し,平壌にて金正日国防委員長との間で初の南北首脳会談が行われた。両首脳は「南北共同宣言」に署名し,これを契機に,南北の交流,協力が拡大した。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領(当時)も,基本的に金大中政権の政策を継承し,2007年10月に訪朝,金正日国防委員長との間で第2回南北首脳会談が行われた。この一連の過程を通じて,開城工業団地開発事業,金剛山観光事業,鉄道・道路連結事業を始めとする各種経済協力事業が活発に行われた。
- (2)李明博(イ・ミョンバク)大統領(当時)は,2008年2月に大統領に就任し,「非核・開放・3000構想」(注)を掲げ,政権の対北朝鮮政策として,北朝鮮による核の放棄と対北朝鮮支援を比較的明確に関連付ける政策をとった。同年7月に北朝鮮兵士による金剛山韓国人観光客射殺事件が発生し,南北関係は困難な状況を迎えた。
2010年3月,韓国海軍の哨戒艦「天安」号が黄海・白翎(ペンニョン)島近海で沈没。同年5月,各国専門家を含む軍民合同調査団は,「天安」号は北朝鮮の小型潜水艇から発射された魚雷攻撃により沈没したとの調査結果を発表し,韓国政府は北朝鮮に対し,謝罪及び事件関係者の即時処罰等を要求した。また同年11月に北朝鮮が延坪島(ヨンピョンド)を砲撃すると,南北関係は再び緊張した。このような中で,2011年7月と9月の2度にわたり非核化に関する南北対話が行われたが,実質的な進展はなかった。(注)「北朝鮮が核を放棄し,改革・開放に乗り出すならば,北朝鮮の1人当たり所得が10年以内に3,000ドルに達するよう積極的に支援する」という構想。
- (3)2013年2月に就任した朴槿恵(パク・クネ)大統領は,確実な抑止力を土台に,南北の間に信頼を積み上げていく「朝鮮半島信頼プロセス」を進めていく考えを表明。4月に入り,北朝鮮は開城工団への通行を一方的に遮断し,同工団の稼働を不可能にしたが,7月以降,開城工団再開に向けた南北当局者間実務協議が繰り返し開催され,8月に正常化に向けて合意。9月の試運転を経て,多くの企業が操業を再開した。
- (4)2014年に入り,2月20日から25日まで,2010年10月末以来中断している離散家族再会事業が金剛山(クムガンサン)にて行われた。
- (5)しかし,2014年3月,北朝鮮は黄海の北方限界線(NLL)にて,海上射撃訓練を実施し,一部が,NLL以南の韓国側海上に落下したことから,韓国側は対応射撃を行った。さらに韓国政府は,2014年に入り,北朝鮮から飛来した無人機が数回韓国国内で墜落したと発表。北朝鮮側は,韓国側が事件を捏造していると批判し,南北の共同調査を通じて事実を解明すべきと主張した。
- (6)朴槿恵大統領は2014年3月28日のドイツのドレスデン訪問時に南北関係について演説を行い,人道支援,インフラ支援,交流拡大を柱とする構想を発表するとともに,北朝鮮の核放棄を求めた一方の北朝鮮側は,2014年6月,国防委員会の「南朝鮮当局に送る特別提案」を通じ,韓国に対し,南北関係改善のため,お互いに誹謗・中傷や軍事的敵対行為(含む米韓合同軍事演習)を中止すること等を提案。韓国統一部は同提案を拒否すると発表した。
- (7)また北朝鮮は,2014年9月19日から10月4日まで韓国・仁川(インチョン)で開催されたアジア大会に選手団を派遣。同大会の閉幕式参加を理由に10月4日,黄炳瑞(ファン・ビョンソ)軍総政治局長,崔龍海(チェ・リョンヘ)党書記,金養健(キム・ヤンゴン)答統一戦線部長が電撃訪韓した。
- (8)金正恩国防委第一委員長は,2015年1月1日の「新年の辞」において,最高位級会談の可能性も含め南北関係に多く言及し,関係改善の考えをアピールした。
- (9)2015年8月,南北非武装地帯の韓国側において地雷が爆発し,韓国軍兵士2名が負傷した。これに対し,11年ぶりに韓国は北朝鮮に対する宣伝放送を再開した。北朝鮮は,宣伝放送の即時中止を要求するとともに,8月20日には韓国側を砲撃し,これを受けて韓国側は対応射撃を実施した。同日北朝鮮は,48時間以内の放送中止と拡声器撤去を要求し,さもなければ強力な軍事行動をとる旨通告した。22日から25日まで板門店において南北の高官が断続的に協議を行い,(ア)南北関係を改善するための当局者会談をソウル又は平壌で早い時期の内に開催すること,(イ)北側は,地雷爆発により南側軍人が負傷を負ったことに対し遺憾を表明すること,(ウ)南側は,非正常な事態が発生しない限り軍事境界線一帯のすべての拡声器放送を8月25日12時付けで中断すること,(エ)北側は,準戦時状態を解除すること,(オ)南北は,秋夕(旧盆:9月27日)を機に離散家族再会を進め,今後継続すること,また,赤十字実務者接触を9月初めに開催すること,(カ)南北は,多様な分野での民間交流活発化させることを内容とする共同報道文に合意した。
経済
1 主要産業
電気・電子機器,自動車,鉄鋼,石油化学,造船
2 名目GDP
1兆4,170億ドル(2014年)
3 GDP成長率と一人当たりGNIの推移
4 失業率の推移
05年 | 06年 | 07年 | 08年 | 09年 | 10年 | 11年 | 12年 | 13年 | 14年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
3.7% | 3.5% | 3.2% | 3.2% | 3.6% | 3.7% | 3.4% | 3.2% | 3.1% | 3.5% |
5 総貿易額
- 輸出:5,727億ドル(2014年)
- 輸入:5,256億ドル(2014年)
6 主要貿易品目
- 輸出:石油製品,集積回路等,乗用車,電話用機器・部品,液晶デバイス等
- 輸入:原油,石油ガス等,石油製品,集積回路等,石炭・固形燃料
7 主要貿易相手国・地域
- 輸出:中国,米国,日本,香港,シンガポール
- 輸入:中国,日本,米国,サウジアラビア,カタール
8 通貨
ウォン
9 為替レート(2015年)8月末
- 1ドル=1,176.30ウォン
- 100円=970.06ウォン
10 経済概況
- (1)韓国経済は,2014年,民間消費や建設投資は前年に比べると伸び悩んだが(それぞれ前年比1.7%増,前年比1.1%増),輸出が増加を続け,経済成長率は3.3%となった。
- (2)外需に大きく依存する経済構造。2014年の貿易収支は472億ドルの黒字であった。対日貿易は赤字が続いているが,2014年は日本への輸出が過去最大となった一方,日本からの輸入はやや減少し,対日貿易赤字は1.93兆円と前年に比べ縮小した。
二国間関係
1 政治関係
韓国は,我が国にとって最も重要な隣国であり,近年,両国の関係は,一層の深みと広がりを見せている。今後も,引き続き,大局的観点から将来に向けてさらに強固な友好協力関係を発展させることが,日韓両国のみならず,北東アジア地域の平和と繁栄にとって極めて重要である。
- (1)2013年2月25日の朴槿恵大統領の就任式には,政府から麻生副総理が出席し,就任式後には,朴大統領を表敬した。また3月6日,安倍総理は朴大統領と電話会談を実施し,未来志向の日韓関係の構築に向けて協力していくことで一致した。
- (2)同年7月1日,ASEAN関連外相会合の際に,岸田外務大臣は尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官と初めての対面での外相会談を実施。重層的で未来志向の日韓関係を築いていく上でのスタートになった。同年9月27日にも,国連総会の機会に日韓外相会談を行い,両外相は,外務大臣間,外交当局間で意思疎通を行うことの重要性を確認すると共に,引き続き様々なレベルで意思疎通を続けていくことで一致した。
- (3)2014年3月25日,核セキュリティ・サミットの際に,安倍総理と朴槿恵大統領の初の直接の会談となった日米韓首脳会談を行い,北朝鮮問題を中心とする東アジア安全保障について,日米韓の三カ国が一層緊密に連携していくことの重要性が確認された。
- (4)同年8月9日,ASEAN関連外相会合の際に日韓外相会談を行い,両外相は,日韓関係の前進に向け前向きな意見交換を行い,日韓間の意思疎通を継続し,深化させる重要性を再確認。外相を含め,様々なレベルで今後とも緊密に意思疎通を図っていくことで一致した。また,日米韓外相会合を行い,北朝鮮問題を始めとした地域及びグローバルな共通の課題について率直に意見交換し,幅広い分野で三カ国が一層緊密に協力していくことの重要性を再確認した。さらに,同年9月26日にも,国連総会の機会に日韓外相会談を実施し,2015年の日韓国交正常化50周年を良い雰囲気で迎えるべく互いに努力していくことを改めて確認した。
- (5)2015年3月21日,日中韓外相会議の際に日韓外相会談を行い,両外相は,日韓関係の前進に向け,前向きな意見交換を行い,協力関係強化のため,引き続き様々なレベルで意思疎通を積み重ねていくことを確認し,両外相間の意思疎通の緊密化で一致した。岸田大臣は、尹炳世長官の訪日を改めて招請し、今後適切な時期に調整していくこととした。
- (6)同年6月21日,岸田大臣は,外務省賓客として,就任後初めて訪日した尹炳世長官と日韓外相会談を実施し,日韓関係の前進に向け前向きな意見交換を行った。会談では,日韓関係総論,日韓国交正常化50周年,人的交流,安保や経済等での日韓間の協力,日韓間の諸課題,北朝鮮問題,そして,南シナ海を始めとする地域や国際社会の課題について議論を行った。両外相は,国際会議の場での外相会談を定例化するとともに,外相の相互訪問を行っていくこととした。また,日韓,日韓米の連携が重要との観点から,日韓米外相会合を適切な時期に開催すべく,三カ国で調整していくこととした。両外相は,日韓首脳会談を適切な時期に実現すべく共に努力していくことで一致するとともに,日韓中サミットを本年できるだけ早期に開催することで一致した。
- (7)同年8月6日に,ASEAN関連外相会合の際に日韓外相会談を実施した。両外相は,日韓間に困難な問題はあるが,日韓関係を前進させるべく,引き続き共に努力していくことも確認した。また,日韓中サミットに関し,両外相は,日韓中サミットの年内の早期開催に向け協力することで一致しており,今回もこの旨確認した。
- (8)この他にも,2015年3月16日,6月11日及び9月18日の日韓間の諸問題を幅広く議論する日韓局長協議の開催など,日韓関係の前進に向け、様々なレベルで積極的に意思疎通を積み重ねてきている。
2 経済関係
- (1)日本にとって韓国は第3位の,韓国にとって日本は第3位の貿易相手国。日本側統計では,2014年の二国間の貿易総額は対前年比2.2%減の約8.99兆円。2014年の対韓投資額は前年比7.5%減の24.9億ドルであった(日本は第2位の投資国)。2013年韓国の対日直接投資は6.9億ドルである。
- (2)日韓の産業構造は似通っており(電子・電気機器,自動車,鉄鋼,船舶等),産業内貿易が多くを占める。
- (3)近年は,日韓両国間の貿易・投資の拡大に加え,第三国におけるプラント受注や資源開発を目的とする日韓企業間の連携が増加する等,両国の経済関係は極めて緊密。
3 交流
- (1)日韓間では,経済,文化,芸術,スポーツ等,幅広い分野で交流が進展。
- (2)日韓間の人の往来は,約504万人(2014年)。
- (3)姉妹都市提携数は,154組(2014年9月)。
- (4)アジア大洋州地域との青少年交流「JENESYS2.0」を通じて,また対日理解交流プログラム「JENESYS2015」を通じて,韓国との間で交流事業を実施中。
4 在留邦人数
36,708名(2014年10月)
5 在日当該国人数
537,105名(2014年6月末,在日韓国人含む)
6 要人往来(首脳)
年月 | 要人名 |
---|---|
2000年5月 | 森総理大臣 |
2001年10月 | 小泉総理大臣 |
2002年3月 | 小泉総理大臣 |
2002年5月 | 小泉総理大臣 |
2003年2月 | 小泉総理大臣 |
2004年7月 | 小泉総理大臣 |
2005年6月 | 小泉総理大臣 |
2006年10月 | 安倍総理大臣 |
2008年2月 | 福田総理大臣 |
2009年1月 | 麻生総理大臣 |
2009年10月 | 鳩山総理大臣 |
2010年5月 | 鳩山総理大臣 |
2010年11月 | 菅総理大臣 |
2011年10月 | 野田総理大臣 |
年月 | 要人名 |
---|---|
2000年9月 | 金大中(キム・デジュン)大統領 |
2002年6月 | 金大中(キム・デジュン)大統領 |
2003年6月 | 盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領 |
2004年12月 | 盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領 |
2008年4月 | 李明博(イ・ミョンバク)大統領 |
2008年7月 | 李明博(イ・ミョンバク)大統領 |
2008年12月 | 李明博(イ・ミョンバク)大統領 |
2009年6月 | 李明博(イ・ミョンバク)大統領 |
2010年11月 | 李明博(イ・ミョンバク)大統領 |
2011年5月 | 李明博(イ・ミョンバク)大統領 |
2011年12月 | 李明博(イ・ミョンバク)大統領 |
7 主な二国間条約・取極
基本関係条約,漁業協定,請求権・経済協力協定,文化財・文化協定,在日韓国人の法的地位協定(以上1965年締結),日韓航空協定(1967年),租税条約(1970年),大陸棚南部共同開発協定(1974年),大陸棚北部境界画定協定(1974年),科学技術協力協定(1985年),原子力平和的利用協力取極,海難救助協定(1990年),環境保護協力協定(1993年),漁業協定(1999年),犯罪人引渡条約(2002年),投資協定(2003年),税関相互支援協定(2004年),社会保障協定(2005年),刑事共助条約(2006年),日韓図書協定(2011年),日韓原子力協定(2012年)