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[FT]新興国危機は米バブルから 深刻なマネー流出

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2016/2/14 3:30
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 2007~08年の米国の住宅バブル崩壊を描いた映画『マネー・ショート』の面白い点は、見ていると登場人物に忠告したくなってくることだ。バブルがもうすぐはじけることを観客は知っているが、映画の中ではごく一握りの人たちしか予見できない。

 私たちは、貧しい住宅購入者の住宅ローンの資金源として利用された複雑な金融商品がひどい代物だったことを知っている。また、バブルは悲惨な結末に終わるが、最終的に米国が事態を切り抜けることも知っているのだ。

ブラジルなど新興国は経済減速に悩む(サンパウロの外貨両替店)=ロイター
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ブラジルなど新興国は経済減速に悩む(サンパウロの外貨両替店)=ロイター

 人の不幸は見ていて楽しい。だが、新興市場で現在進行しているドラマに、そのような楽しみは見つけられない。「銀行と格付け会社と政府」の幹部らによる陰謀はどうやら存在しないようだし、悪者が当然の報いを受ける見込みもほとんどない。

 新興諸国を苦しめる経済崩壊はゆっくりと、だが確実に進んでいく。経済成長の減速と失業率の上昇は何年も前から続き、中南米とアフリカ全体を芯までむしばんでいる。

 こうして見ると、08年の米国の危機と現在の新興国が抱える問題は違う。だが、新興国を泥沼に引きずり込もうとしている問題点はどんどん重みを増しており、かつての米国の危機との間に見過ごせないつながりがある。また、現在の世界の経済成長の大半は新興国に負うものであるため、新興市場が落ち込めば欧米先進国にもその影響が及ぶ。

 南アフリカに拠点を置く投資運用会社インベステックのストラテジスト、マイケル・パワー氏は、新興国の潮の満ち引きを決めてきたのは「2つの月」だったと言う。その片方の月が欠けてきたことが、新興国の不調に新たな症状をもたらしている。

■中国の減速が拍車

 一方の月は中国だ。途上国が輸出する資源に対する中国の需要が減退したことで分かる通り、片方の月は沈んだ。だがそれはもう昔の話。今、市場を驚かせているのは、もう一つの月がもたらす干満の変わり目だ。こっちの月を代表するのは、世界の金融に流動性を与える最終的な源である米連邦準備理事会(FRB)である。

 中央銀行の中銀と呼ばれる国際決済銀行(BIS)は、過去15年にわたり途上国の成長を後押ししてきた貸し付けの拡大は既に止まり、債務返済に伴う悪循環が始まるかもしれないと指摘する。

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