ふと気付いたのだが、
周りの人は誰もシートベルトをしていない。
(俺はしてる。)
軽井沢のスキーバスであのような事故があったにもかかわらず。
(亡くなった13人中12人はシートベルトをしていなかった)
結局誰も自分は同じような事故に合わないと思っている。
死なないと思っている。
そこで俺は考えた。
どうすれば、皆がシートベルトをしてくれるようになるだろうか?
1分程度、俺はバスに揺られながら思考して、単純な答えにたどり着いた。
それは、俺が注意することだ!
「あ、あ、あ、あのぅ、シ、シ、シートベルトしたほうが、あ、安全だと思うんですよぅ。な、なんでシートベルトしたほうが、ぃぃとぉもぃます…」
ダメだ、俺にそんな勇気はない!
まあ、ここらは妄想として、
俺がきっぱり注意したとする。
するとたいていの人はシートベルトをしてくれるだろう。
でも、どうせ注意されたからという理由でみんなシートベルトをする。
たぶん、俺も同じ立場ならそうだ。
車を運転する時も、警察に捕まるからという理由で、シートベルトしたり、制限速度を守ったりする。
所詮死ぬことよりも、注意されることのほうが嫌なのだ。
というより、死ぬことなんて非現実的で、注意されることのほうがより現実的なことだと考えている。
でも、本当は死ぬことも十分現実的だ。
人間誰しもいつかは死ぬのだから。
と俺は考えながら、今車酔いと戦っている。
あと、俺には嫁のために逆バレンタインデーとして作ったコンドームチョコレートが、冷蔵庫の中で横たわっている。
だから、俺は今日死ぬわけにはいかない。