純和風テイストのアニメーションが、密かにハリウッドでアツい?!
まぁ、たまたま2作の発表が近かっただけなんですけど、流行ったら面白いだろうなあ。
よく考えてみると、昔の日本を舞台にしたハリウッドのアニメーションって、映画でもテレビでもそう多くなかった気がします。エピソードに急に挟まれるSamuraiやNinja、中華風なのか和風なのかよく分からない建物などはちょこちょこ散見されるし、「ベイマックス」や「カーズ2」等で見られるように、現代の日本風のビジュアルは決して珍しくないのですが。中国の場合、最近新作が公開された「カンフーパンダ」や、ちょっと遡れば「ムーラン」など、古代の中国を舞台にしたメジャーな作品や、その時代に影響を受けたビジュアルの作品が結構ありますが、日本風で有名なものと言うと「サムライジャック」位でしょうか?
そんな中、ここ数週間の間に劇場長編が1本、そしてテレビシリーズが1本発表され、そのどちらもが純和風テイストなのです。勿論、完全に忠実とはいきませんが、それでも今までと比較すると断然、ちゃんと研究した上で作られているのだなと思わず感心してしまいます。では、それぞれの予告と概要を見ていきましょう!
Kubo and the Two Strings
「コララインとボタンの魔女」などを手掛けたストップモーション・アニメーションのスタジオ、LAIKAの新作映画。声優にはシャーリーズ・セロン、マシュー・マコノヒー、レイフ・ファインズ、ジョージ・タケイ等豪華キャストを揃えています。
賢くて心優しいクボは、ホサト、アキヒロ、カメヨ達も住む海辺の町で、町人たちに語り物を聴かせてつつましやかな生活を送っていた。しかし彼の人生は、彼が意図せず召喚してしまった過去からの魂に、古の敵討ちを命じられる事で一変してしまう。町を離れたクボは、サルとビートル(訳注: 見た目的にはクワガタ?)と出会い、家族を助けるため、そして天下一とうたわれた侍であった父の死の謎を解くため、心躍る冒険の旅に出る。
クボの武器は、欧米ではあまり馴染みがなさそうな三味線。これを使い、折り紙に命を与えることができるようですね。ほかにも色々と魔法のようなものも使えるのでしょうか? ネーミングは昔話に出てこなさそうな妙に現代的な名前だし、主人公だけなぜか苗字ですが、その辺はご愛嬌。キャラクターデザインもそこまで深く和風にこだわっているわけではないようですが、全体の雰囲気を損なってはいない印象。CGも織り交ぜた美しい映像とストップモーションの手作り感がより昔話っぽさを出していて素敵です。是非劇場で観てみたいですね。
AIKO
新しいプロダクション、ROYGBIVによるテレビシリーズのティザー。残念ながら現時点ではまだ放送は決まっておらず、扱ってくれる放送局を探している段階です。こちらは伝統的な2Dのアニメーションですが、孤独感を煽るような、クボとはまた違った独特の世界観を持っています。
どこからともなく現れた人外の軍団に故郷を破壊された若い少女は、自らの中に秘められた、自身も望まない力を発見する。妹と仙人と共に彼女は戦で荒廃した国を駆け巡り、世界を救えるかも知れない、彼女の一族の秘密を探る。
こちらはまだシリーズの制作が決定していないので、このティザーのためだけにシーズン1の脚本から見せたい部分だけを決めてアニメーションを制作したそうです。例によって、名前だけがなんか現代っぽいのですが、それ以外はそこそこ忠実な印象。怪物のデザインはもう少し日本の妖怪などを参考にしてもよかったかも知れないですね。HuluやNetflixでピックアップしてほしい感じです。
いかがでしたでしょうか? まだまだ思わず首をかしげてしまうような部分も無くはないのですが、過去10年程でハリウッドも他国の文化を多少なりとも忠実に表現しようという動きが大きくなってきました。あるいは、アレンジを加えていても元に対する敬意を払っていて嫌味がないと感じることも多くなりました(ドラゴンボールは除く)。個人的には、もっと日本人以外の人が解釈した日本のおとぎ話や日本を舞台にしたアニメーションが観てみたいです。自分たちでは考えつかないような発想に出会えるかも知れませんからね!
source: YouTube、Motionographer
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